無人配送が新たな武器に 京東・アリババ・美団が必死の開発競争

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スマホの出前アプリから注文すると、わずか10分ほどで頼んだ料理を載せたドローンが集合住宅の敷地内までやって来て止まる。配達が完了するとドローンは再び飛び立ち、次の注文に対応する。

これはSF映画のワンシーンではなく、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」が現在テスト中のドローンを使ったフードデリバリーの一連の流れだ。同社は先日上海で、都市部を想定した独自の低空配送運営モデルを初披露した。

美団の無人配送システムは開発の初期段階にあり、大規模な商用化には時間が必要だが、ポテンシャルを秘めた有望分野だ。IT専門調査会社IDCのデータによると、世界の消費者向けドローン市場で最も多くのシェアを占める国は中国であり、世界の民生用ドローン企業上位10社のうち、7社が中国企業で占められている。

多くの企業がこの傾向を察知しており、関連分野での展開を始めている。

2017年、美団の強力なライバルであるフードデリバリー大手「餓了麼(ele.me)」がドローンを導入した。同社が打ち出した「未来物流」の戦略構想は、「インテリジェントスケジューリング〜人とロボットの協業(HRC)による配送〜無人配送」という3段階に分かれている。同社が最終的に配達員不要の完全無人配送システムを目指しているのは明らかだ。

1年後、餓了麼は中国で初めてドローンによる即時配送ルートの開設を関連当局から許可され、フードデリバリー用ドローンの商用化が始まった。当時ドローンの飛行が許可された17路線は全て上海の金山工業パーク内にあり、テスト期間はユーザーが注文してから平均20分で配達が完了していた。ところがそれ以降、餓了麼からはドローン配送に関する発表はほとんどない。

餓了麼と同じくアリババ傘下の物流企業「菜鳥網絡(Cainiao Network)」も、無人配送関連で多くの動きを見せている。重点を置いているのは配送のプロセスだ。絶え間ない技術の進化を経て、菜鳥は2020年に自動運転配送車の量産・商用化を開始した。車両はニーズに応じてさまざま形態に改造でき、移動式のセルフピックアップカウンターやコーヒーの移動販売車など多様なシナリオへ対応できる。

菜鳥が主催した2021年の「全球智慧物流峰会(Global Smart Logistics Summit)」で、アリババCTO(最高技術責任者)兼菜鳥CTOの程立氏は、今後1年以内に短距離配送用自律走行ロボット「小蛮驢」1000台をキャンパスや社区(中国独自の地域コミュニティ、行政単位)で稼働させると発表した。

中国のECおよび物流業界をけん引する「京東(JD.com)」にとっても、無人配送は見過ごせない分野だ。京東では2016年に設立された「X事業部」が、自動運転配送車の研究開発と展開を担っている。

現在、京東の自動配送車は社区内や公道での大規模運用が徐々に完成に近付いている。自動運転、障害物自動回避、信号機の識別、自動集荷などが手動制御なしで機能するもので、湖南省長沙市や貴州省貴陽市など20以上の都市で実用化されている。また京東は完全独自知識財産権(IP)を備えたドローン「京蜓」を所有し、2020年10月から組み立ておよび飛行試験も始まった。貨物を空中投下できる機能を備えた積載量数百キロ級のドローンとしては中国初だ。

ビジネスモデルの観点から見ると、京東の無人配送技術は自社向けだけでなく、他社にも技術とソリューションを開放している。日本の楽天が構築する無人配送サービスにも京東による無人配送機器とスマートソリューションが使用された。

中国物流最大手「SFエクスプレス(順豊速運)」も無人配送分野で長年模索を続けている。2012年に王衛董事長がドローン物流構想を打ち出して以降、同社は合弁、出資、自社開発などさまざまなやり方でドローン物流の構築に取り組んできた。

2020年8月、順豊の大型ドローンは初めて事業化を想定した貨物積載飛行を成功させた。これは大型ドローンを物流に利用した中国初の事例だ。順豊傘下で大型ドローン開発を手掛ける「豊鳥航空科技(Fonair Aviation)」は当時、開発試験および実用化試験用の飛行ルート9路線の承認を関連当局から得ている。

現在注目を集め、大いに発展が見込まれる無人配送だが、課題は小さくはない。

まず、現段階でドローンを配送に応用するためには、政策や法律の壁をクリアする必要がある。そして監督管理政策がまだ不明確な状況下では、ドローン配送の大規模な商用化は難しく、関連当局による認可取得後、限られた地域で小規模サービスの展開が可能になるだけで、自動運転配送車も同様の状況に置かれている。

無人配送サービスの多くは都市部の複雑な交通環境への適応が難しく、配送中の安全性の向上も欠かせない。人々の生活に浸透するまでは道のりは長いと言えるだろう。

作者:WeChat公式アカウント「全天候科技(ID:iawtmt)」、張超

(翻訳・浅田雅美)

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