電池不要の自己発電型スマートホーム製品、東京五輪でも採用

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電池不要の自己発電型スマートホーム製品、東京五輪でも採用

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環境に優しいスマートホーム製品を手がける「Linptech(領普科技)」がシリーズBで5000万元(約8億5000万円)を調達した。リード・インベスターは「武漢光谷烽火創投(Wuhan Guanggu Fenghuo S&T Venture Capital)」、コ・インベスターは「潤欣科技(Fortune Technology)」が務めた。

2009年に創業したLinptechはこれまで、身の回りの微小なエネルギーを電気に変える「エネルギーハーベスティング(環境発電)」や超低消費電力の無線技術などの研究に注力してきた。特にエネルギーハーベスティングは振動や光、温度差などを電気に変換して製品を動かす技術のため、電池交換の手間を省けて環境にも優しい。二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の概念をスマートホームに取り入れた試みだ。

同社の製品は東京オリンピックでも使用されているほか、不動産開発大手「碧桂園(カントリー・ガーデン)」や武漢市および雲南省の仮設病院など多くの企業や施設で活用されている。

Linptechのスマートホーム・ソリューション

Linptechはカーテン、照明、セキュリティー、浴室、キッチンの五大製品ラインを展開しており、スマートスイッチやドアベル、スマートカーテンなど15種類以上の製品を提供している。マンションや不動産開発、ホテルなど事業者向けに製品を提供しているほか、ECプラットフォームでも一般消費者向けに販売している。

現在では、シャオミのスマート家電ブランド「米家(MIJIA)」、ファーウェイのスマートホーム用プラットフォーム「HiLink」、アリババのAIアシスタント「天猫精霊(Tmall Genie)」などと連携している。

Linptechのソリューション活用例

同社の董事長で総経理の覃珩氏によると、製品のベースとなっているのはエネルギーハーベスティング技術だという。この技術により、スイッチを押す動作や光、室内の温度差を電気に変え、小型無線設備の通信に必要な電力をまかなうことができる。

一般家庭や工業現場にセンサーを設置する際、多くの場合配線や電池交換の難しさが問題になる。エネルギーハーベスティングを応用すれば、スイッチやボタンを押す動きで得られるわずかな電力で無線通信を行うことができ、電池は不要になる。さらに配線もないため、設置場所の制約もなくレイアウトは自由自在だ。

エネルギーハーベスティングを応用した製品生産は技術的ハードルが高い。センサーはサイズが小さく部品も精密で、高い信頼性を必要とするため、Linptechは設立時に条件にかなう委託生産工場を見つけられず、自社工場の建設を余儀なくされた。しかし困難を乗り越えた今となっては、自社生産ラインを所有していることが同社の大きな強みとなっている。現在は2万5000平方メートルの工業団地を自社建設する計画が進行中だ。

艾媒数據中心(data.iimedia.cn)のデータによると、2016年から2020年にかけて中国のスマートホーム市場は拡大を続けており、2020年には市場規模が前年比11.4%増の1705億元(約2兆9000億円)に達した。2022年までには2000億元(約3兆4000億円)を突破すると見込まれている。5G技術の活用が進むにつれて、スマートホーム市場も将来的には数兆元(数十兆円)規模に拡大するとも予測され、業界には多くの企業が参入してきている。

覃氏によると、エネルギーハーベスティング以外に、自社工場のリーン生産方式も新興他社とは一線を画する同社の強みとなっているという。
(翻訳・畠中裕子)

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