名門の北京大出身者で固めたAIスタートアップ、1年で3回の資金調達を成功させたワケ

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名門の北京大出身者で固めたAIスタートアップ、1年で3回の資金調達を成功させたワケ

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1年で3回の資金調達を実現するのは珍しいケースだ。

AI分野のスタートアップ「深勢科技(DPTechnology)」は、直近のシリーズAで数千万ドル(約数十億円)を調達し、一躍注目の的となった。

出資を主導したのは高瓴創投(GL Ventues)で、マトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯中国)や、バイドゥ(百度)系の創薬メーカー百図生科(BioMap)も参加した。深勢科技は昨年8月にはエンジェルラウンド、今年3月にはプレシリーズAで資金を調達している。なぜこれほどまでに投資業界の人気を集めているのだろう。

AI✕分子シミュレーション

公開されたデータによると、深勢科技の事業内容はAI技術による量子力学の課題解決(AIによる分子シミュレーション)だ。電子、原子、分子レベルで組成・設計を行い、特定の物理的性質および化学的性質を有する工業設計を実現する。医薬品設計、材料設計、物性予測などに活用でき、大きな価値を発揮するという。

同分野には長年にわたる難局が存在する。ミクロ組織の物性予測の多くは、原子間相互作用を精確に求めることが不可欠だ。原子間相互作用を記述する鍵となる物理量は、原子間のポテンシャルエネルギー局面(PES)だ。しかし、経験的力場を用いる方法は速いが不正確、量子力学的方法は正確だが遅く、さらに「次元の呪い」のリスクを伴うという苦境にしばしば直面してきた。

そこで深勢科技が取り出した「切り札」が、AIと分子ミュレーションを組み合わせた技術だ。

マルチスケールモデリング、機械学習、高性能計算(HPC)を組み合わせた初めてのパラダイムで、「DeePMD」と名付けた方法を編み出した。量子力学の正確さを基礎としながら、分子動力学の計算速度を5桁以上高めた方法だ。さらに、計算力においては需要とシステム内の原子量が線形依存関係を呈する。

こうした技術が評価され、深勢科技は昨年11月、HPC応用分野の最高賞ゴードン・ベル賞を受賞した。

直近の資金調達ラウンドでは、資金の用途を「次世代の分子シミュレーションプラットフォームに代表されるサイエンティフィック・コンピューティングのプラットフォームを構築し、関連技術を医薬品や材料の設計などで実用化する」としている。

アカデミックなメンバー構成

企業の技術以外に資本市場が重視するのが、メンバーのバックグラウンドだ。この点で深勢科技は「北京大学元培学院(Yuanpei College of Peking University)」という強力なバックグラウンドを持っている。

創業者でチーフサイエンティストの張林峰氏は北京大学元培学院を卒業後、米プリンストン大学で応用数学の博士号を取得。主に統計物理学や分子シミュレーション、機械学習を研究し、化学、生物、材料分野などでの応用に取り組んできた。共同創業者でCEOの孫偉傑氏も北京大学元培学院の出身で、テクノロジー、教育、企業サービスなどの分野で分析や投資の経験を豊富に積んできた。

そのほかのコアメンバーは中国科学院のフェローが筆頭となり、多くが北京大学、復旦大学、プリンストン大学、ジョンズ・ホプキンス大学などの名門校や中国科学院薬物研究所、アリババ、バイドゥ(百度)など有名な研究機関や大手企業の出身者だ。

作者:WeChat公式アカウント「量子位(ID:QBitAI)」、金磊
(翻訳・愛玉)

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