上司と取引先が交互に女性の部屋へ……アリババ性暴力事件、強制わいせつ容疑で立件

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上司と取引先が交互に女性の部屋へ……アリババ性暴力事件、強制わいせつ容疑で立件

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アリババグループの女性社員が出張先のホテルで上司らから性的暴行を受けたと訴えている問題で、中国山東省の済南市公安局は14日夜、ウェイボ(微博)の公式アカウントで上司の王容疑者と、取引先である(大手スーパーチェーン)済南華聯超市の張容疑者を強制わいせつの疑いで捜査していると公表した。当局は事件について済南市とアリババが本社を置く杭州市の警察が、聞き取りや監視カメラ映像の確認、現場検証などを行った上で、現時点で判明したことを説明した。

アリババの女性社員の訴えとはところどころ食い違いが見られ、多くの謎が残っている。

会食で酩酊……全裸で目覚め、床に避妊具。性暴力被害訴えた投稿は即削除された【アリババ女性社員の告発】

公表された捜査状況全文

(編集部注:周氏=被害を訴えた女性、王容疑者=周氏の上司、張容疑者=取引先の男性社員)

1,事件の認知のきっかけ

2021726日、アリババグループ社員の王容疑者と同僚社員が済南市を出張で訪れ、市中区のホテルに宿泊した。27日、(被害者である)アリババの女性社員・周氏と別の男性社員も済南に到着。周氏は槐区のホテルに、別の男性社員は天橋区のホテルを取っていた。

同日午後、アリババの4人は取引先の華聯超市と契約を締結し、夜にアリババと華聯超市の社員計8人が市中区で会食した。アリババの社員はその後ホテルに戻った。

翌28日午前、女性は自分が酩酊状態の中で性的暴行を受けた可能性があるとして、夫に連絡後、正午に警察に通報した。

 2,王容疑者の強制わいせつ容疑について

2021年7月28日12時34分、済南市公安局は周氏から通報を受けた。派出所の警察官が現場に急行し、同日中に刑事事件として受理した。警察官は現場のホテルで監視カメラの映像を確認したり、部屋で現場検証を行ったりした。周氏が通報したのはチェックアウトの後であり、部屋はすでに清掃されていた。その後、女性は山東省立病院で検査を行った。15時15分、女性は警察機関から、同僚の男性が派出所での取り調べに応じたとの連絡を受けた。

 本件は多方面への聞き取りを必要とする複雑な案件のため、槐蔭区支局は7月28日、「公安機関法執行細則」に基づいて立件の期限を30日延長した。8月10日、強制わいせつ罪として立件した。

 調べでは、2021年7月27日晩から28日未明にかけ、王容疑者が女性社員・周氏の部屋に4回出入りしていたことが明らかになった

 1回目:7月27日22時51分、王容疑者と取引先華聯超市の女性社員が周氏をタクシーで槐蔭区のホテルに送り届けた。周氏は酩酊しており、フロントで部屋番号を伝えることができなかったため、王容疑者が周氏の身分証とルームキーをスタッフに見せて部屋番号を確認した。22時53分、王容疑者と取引先社員とで周氏を部屋に送り休ませた。22時58分、取引先の社員が部屋を出てから15秒ほど後に王容疑者も部屋を後にしている。

 2回目:取引先の社員はタクシーで帰宅。23時04分、王容疑者もタクシーを呼んでホテルを去ろうとしたところ、別の同僚から「周氏がろれつの回らない調子で何度も電話をかけてくる」と電話を受けた。同僚は王容疑者が周氏のホテルにいることを知ると、様子を見てくるよう依頼した。

23時08分、王容疑者はタクシー配車をキャンセルし、23時16分にホテルのフロントに戻って、自分と周氏の身分証を提示した。フロントは電話で周氏の同意を得てスペアのルームキーを作り、王容疑者は23時23分に女性の部屋に入った。そしてわいせつ行為に至り、23時33分にはオンラインで避妊具を注文している。23時43分、王容疑者は部屋を出た。注文した避妊具はまだ届いていない。7月28日0時、避妊具がホテルのフロントに届けられた(午前10時ごろ、王容疑者はフロントで避妊具を受け取り、捨てたとみられる)。

 3回目:7月28日0時、王容疑者がタクシーを呼んで自分のホテルに帰宅しようとした時、また同僚からビデオ通話があり、「周氏が不明瞭な話し方で何度も連絡してくるので様子を見てほしい」と頼まれた。0時13分、王容疑者はビデオ通話をつないで女性の部屋に入り、女性がすでに眠っていることを示した。0時21分、王容疑者は部屋を出た。

 4回目:王容疑者はフロントまで降りたところで、自分が宿泊しているホテルの貸し出し用傘を周氏の部屋に忘れたことを思い出した。0時24分に女性の部屋に入り、0時26分に傘を取って部屋を出る。その後、タクシーで自分のホテルに戻った。

 3,張容疑者の強制わいせつ容疑について

8月4日、周氏は再び警察に電話をかけ「7月27日晩、済南市のレストランで上司や同僚と会食していた時に、酩酊状態でわいせつ行為を受けた」と通報した。市中区支局管内の派出所が当日中に受理し、捜査を開始した。

 調べによると、7月27日21時29分、会食中に周氏は酒の飲み過ぎで吐き気をもよおしたため、張容疑者が付き添って個室を出た。女性は個室を出てからロビーまでずっと嘔吐していた。その後個室に戻る途中、張容疑者は女性にわいせつな行為を行った。22時ごろ、会食が終了した。

 7月28日7時14分、周氏は張容疑者に連絡し、部屋番号を伝えた。張容疑者は自宅から未開封の避妊具1箱を持って、7時59分に女性の宿泊しているホテルに到着した。ドアをノックして女性の部屋に入った後、女性に対してわいせつな行為を行った。9時35分、張容疑者が部屋を出るときに、女性のショーツ1枚を持ち去り、未開封の避妊具は部屋に残した。

 4,事件に関連した状況について

①周氏は出張を強要されたのか

捜査によると、2021年4月にアリババグループの一部門と済南華聯超市が提携に合意し、周氏はその後の橋渡し役を務めた。7月15日にオンラインで契約を行い、7月27日に現地で契約書に署名することが決まった。多くの関係者の証言やアリババの出張報告システム、関連する電子データなどの証拠を調べた結果、女性が出張を強要されたという事実は確認できなかった。

 ②女性は飲酒を強要されたのか

7月27日午後に契約を済ませた後、契約締結を祝って会食することを王容疑者が提案した。周氏がレストランを予約し、華聯超市側に時間と場所を連絡。その晩には男性6人、女性2人の合計8人で会食がもたれた。そのうち1人はお酒を飲まず、1人はビール2本を飲んでいた。王容疑者、張容疑者、周氏を含む6人は合わせて5本近くの白酒(パイチュウ)を空けた。同席者やレストランスタッフの話から、会食の席では飲酒の強要はなく、周氏が飲んだのは白酒350ミリリットルほどだったという。

 「中華人民共和国刑法」第237条の規定に基づき、王容疑者と張容疑者は強制わいせつ罪の容疑で、済南市公安局槐区支局の刑事強制措置のもとにある。強制性交等罪を裏付ける証拠はない。引き続き詳しい捜査が行われている。

 2021年8月14日

 (翻訳・畠中裕子)

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