“長期主義”のジレンマ。短編動画アプリ「快手」、ユーザー獲得・海外事業で伸び悩み

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“長期主義”のジレンマ。短編動画アプリ「快手」、ユーザー獲得・海外事業で伸び悩み

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中国の短編動画アプリ「快手(Kuaishou)」を運営する「快手科技(Kuaishou Technology)」が25日、今年第2四半期(4〜6月)の決算を発表した。

ユーザー数の伸びでみると、快手の今四半期のデイリーアクティブユーザー(DAU)は平均2億9320万人で前年同期比11.9%増となった。しかし、前四半期の2億9530万人からは約1%減少した。

今四半期の売上高は前年同期比48.8%増の191億4000万元(約3200億円)だった。調整後の純損失は47億7000万元(約800億円)で、前年同期から146.2%拡大した。

事業別にみると、オンラインマーケティングサービス事業が同社の成長を主に牽引しており、売上高は前年同期比156.2%増の100億元(約1700億円)。売上高全体に占める割合は50%を超えている。Eコマース事業を主体とするその他の事業の売上高は同212.9%増の20億元(約340億円)で、Eコマース事業の流通取引総額(GMV)は同100%増の1454億元(約2兆4700億円)だった。一方でライブコマース事業の売上高は減り続けており、今四半期は72億元(約1200億円)だった。

短編動画によるコミュニティを主戦場としている快手にとっては、他にも数点、注目すべき数字がある。

一つは1ユーザーあたりの利用時間だ。今四半期は1人あたり1日平均106.9分で、前四半期比7.7%増、前年同期比25.2%増となっている。もう一つの数字は1ユーザーあたりのオンラインマーケティングサービスの売上高が62.9元(約1070円)で、前四半期の29元(約500円)から明らかに伸びている。

快手はユーザーコミュニティとしての属性を持っているが、これによって顧客獲得コストが減らせるわけではないようだ。今四半期のマーケティング・販売コストは112億7000万元(約1900億円)で、前四半期より5億元(約85億円)減らしているものの、売上高の58.9%に当たる額となっている。また、マーケティング・販売にコストがかかる割に、アクティブユーザーが顕著に伸びているわけではない。

鍾奕祺CFOも決算発表後のカンファレンスコールで「現在の快手は生産性が思わしくない」と認めた。

DAU4億獲得の中長期目標を達成するには、二つの難関がある。一つは顧客獲得・定着の効率化を進め、DAU3億止まりのボトルネックを脱すること、もう一つは10億ドル(約1100億円)を投じたといわれる海外事業で迅速に成果を出すことだ。

しかし二つの難関を突破するのは難しい。理由の一つは、短編動画業界ではユーザーの増加が頭打ちになりつつあるからだ。快手のライバル「抖音(Douyin、TikTok中国版)」も成長率が鈍ってきているが、米モルガン・スタンレーが7月に発表した予想では、快手の今四半期のDAUの伸び率(前四半期比)は抖音を14ポイント下回り、2018年第4四半期以降で両社の格差は最大となった。

もう一つの理由は、快手は比較的早く海外進出したものの大きな成果が得られていないからだ。快手が北米市場向けに運営してきた短編動画アプリ「Zynn」は月内にもサービスを終了することとなり、同社の海外事業に悲観的な見方が増えている。

事業の収益化については、快手には主に三つのミッションを達成しなければならない。

一つ目はコンテンツエコシステムの多様化。二つ目は収益性の向上で、より多くの広告主を獲得し、フィード広告のインフラ構築を引き続き推進していくことだ。三つ目はEコマース事業における誘客戦略で、インターネット全体で仕掛ける戦略と、SNSコミュニティなどを駆使して顧客にダイレクトにアプローチする戦略を分けて策定すること。前者では数多くのブランドを引き入れること、後者では細く長く支持されるニッチなブランドや商品をPRしていくことだ。

快手は先日、「長期主義」の方針を打ち出した。これを実現できるか、あるいは停滞期に入るのかは未知数だ。
(翻訳・愛玉)

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