高級ブランドに手を伸ばすアリババと京東。だが販売効果が最も高いのは微信
アリババが高級ブランドのオンライン販売Ordre(フランス)に続き、スイスの高級ブランドリシュモングループとの提携を発表した。アリババはリシュモン傘下の高級ブランドECユークス・ネッタポルテ(YNAP)と合弁会社を設立する。
ラグジュアリーブランドとの提携は、アリババのライバル京東集団(JD.com)も活発に動いている。2018年6月、YNAPの最大のライバルであるファーフェッチ(FARFETCH)に3億9700万ドル(約640億ドル)を出資、同年8月には欧州3大ラグジュアリーグループの一角、モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)と共同で、中国高級品ECの寺庫(SECOO)に1億7500万ドルを出資した。京東は自前のラグジュアリーEC「TOPLIFE」も展開している。
EC市場のユーザー頭打ちで細分化に活路
大衆向けEC市場のユーザー数が頭打ちに近づく中、EC大手は十分に開拓されていないセグメントに目を向けている。ローエンド市場でシェアを取った拼多多(Pinduoduo)、中間層に特化した網易厳選(Yanxuan)は、特定のセグメントを囲い込んで成功した事例だ。
一方、アリババ、京東はラグジュアリーECに狙いを定めた。ラグジュアリーブランド側もこれまで主力としていた日米欧市場の業績が低迷し、年17%成長を見せる中国市場は頼みの綱と言える。
EC消費に占める中国のラグジュアリー消費は2015年の6%から、2017年には9%に上昇した。また、2017年の中国ラグジュアリー消費額は20%増加したが、そのうちオンラインでの成長率は43%と、実店舗の19%を大きく上回った。ベイン・アンド・カンパニーは、2025年にラグジュアリー消費の4分の1がオンラインを経由すると予測する。
ECとラグジュアリーの生来の矛盾をどう解決?
とはいえ、ラグジュアリーブランドのEC展開には矛盾もある。ラグジュアリーブランドは、購入前からアフターサービスまで、その価格に見合ったユーザー体験の提供が期待されている。立地、店内の環境、スタッフの質といった点は、ECというバーチャル環境では再現できない。
ラグジュアリーブランドとECは、顧客獲得の方法も違う。特に中国ではその差は歴然としている。
ECは低価格の目玉商品を使って大量の消費者を呼び込むが、これらにつられてサイトを訪れた人々がラグジュアリーブランドを定価で買うことはないだろう。現在、中国のECサイトはどこも、安さと配送の速さを競っているが、ラグジュアリーブランドの競争力は別のところにある。
さらに面倒なのは、中国ECにおける偽物問題が解決していないことだ。ラグジュアリーブランド側も、中国ECを期待と非難入り混じる目で見ている。
ECよりソーシャルとの連携が効果的
「2017年中国ラグジュアリーブランドEC発展報告」によると、中国のラグジュアリー市場は既に1000億元(約1兆6000億円)規模を超え、消費者の半分はオンラインでの購入に抵抗を持たない。その主力は23-37歳の若年層で、この層はECだけでなく、ソーシャルとの親和性も高い。
ブランド側も、微信(WeChat)、抖音(Tik Tok)などソーシャルチャンネルに関心を寄せている。ラグジュアリーブランドの90%は微信の公式アカウントを有し、ミニプログラムで直営販売を行い、インフルエンサーを起用している。
ラグジュアリーブランドの展開は、ECよりも微信の方が強みを持っているようだ。微信は10億人の月間アクティブユーザーを抱えており、高級品に強い京東商城も、アクセスの20%は微信経由となっている。微信はECの販売に直接貢献しているほか、友人間の情報を共有するモーメンツに広告を出すなど、多様なプロモーションができる。
微信のアプリを開く頻度はECよりはるかに高く、ショッピング以外の場面でも消費を喚起できる。
長期的な視点で見れば、ラグジュアリーブランドにとって、ラグジュアリーECの立ち上げや、天猫、京東商城といった大手ECへの出店は必要な戦略だろうが、短期的には微信と連携するのが最もコストパフォーマンスに優れ、便利な方法なのは間違いない。
(翻訳・浦上早苗)