Microsoft Officeに代わる中国発WEBサービス「石墨文檔」、テンセントとの舌戦で注目

中国のスタートアップ「武漢初心科技」が開発した、WEB上で文書を閲覧・編集できるプラットフォーム「石墨文檔(shimo.im)」がサービスを開始して3年以上経つが、オフィス向けのクラウドサービスとしてはこれまで特段目立つ存在ではなかった。しかし、ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」による出資や、騰訊(テンセント)による同様のサービス「騰訊文檔(docs.qq.com)」が参入したことで、このところ関心を集めている。

注目を浴びるきっかけとなったのは今年4月。石墨文檔はBラウンドで今日頭条から約1億元(約16億円)近い出資を受け、直後にテンセントが騰訊文檔を正式にローンチさせたためだ。

予想外だったのは、両者の間で舌戦が勃発したこと。テンセントの馬化騰(ポニー・マー)CEOは騰訊文檔のローンチにあたり、「8年間追い求めてきたことが実現した」と感慨深げに語っているが、石墨文檔は「騰訊文檔は我々の長期に渡る研究成果を相当参考にしている」と批判。さらに、騰訊文檔の責任者(当時)である焉賢卿氏が36Krの取材に対して「それは誤りだ」と応酬するなど、両者の争いがクローズアップされた。

今日頭条との戦略の一致、騰訊文檔との棲み分けは?

騰訊文檔のローンチ直前になって石墨文檔が今日頭条からの出資を発表したことについて、石墨文檔の創業者の一人である呉潔氏は、「発表のタイミングはあまり関係ない」とし、その理由としてこの調達案件について広く知られたくなかったこと、それ以前に懸案事項が他にも山積みであったことを明かす。

また、今日頭条が石墨文檔に出資を決めた理由については「両社の戦略の一致」を挙げた。今日頭条は以前から石墨文檔のサービスを利用していた経緯もあり、話は比較的スムーズに進んだようだ。

騰訊文檔との違いについて、呉潔氏は「テンセントの強みは個人ユーザー」と主張。その利用者数の多さから「無料のプラットフォームやサービスに適している」と分析する。一方、石墨文檔は企業や組織向けのサービスに注力しており、利用料の支払いと引き替えに、サービスの質を手厚く保障する。

実際、石墨文檔は有料の法人向けサービスをリリースする予定だ。すでに7月からテスト運営を開始している。つまり、無料の個人ユーザーにはそれほど重きを置いていないと言えよう。

呉潔氏は「国内では長い間、Microsoft Officeがシェアを独占している。かつて金山軟件(キングソフト)がWPS Officeを広めようとしたが、今のところ国内のサービスでOfficeに代替できるものはない」と現状について述べた上で、「しかし、我々は将来的にできることを望む」とも。「中国では高速鉄道やロケットなどの分野で国産が実現している一方、いまだ十数億の人々がマイクロソフト製品を使用しているのは、情報漏洩の観点からするととても危うい」と、自身の考えを述べている。
(翻訳・飯塚竜二)

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