滴滴(DiDi)、オープンプラットフォームの提供開始 輸送力集約型モデルに残る安全対策面の課題

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中国配車サービス最大手の「滴滴出行(Didi Chuxing)」が9月18日、湖北省武漢市でオンライン配車予約オープンプラットフォームの運営を開始した。利用者は「同時呼び出し」機能を使い、ワンタップで同社と「東風出行(Dongfeng Chuxing)」の車両を呼び出せる。

滴滴は7月15日、オンライン配車予約オープンプラットフォームをリリース。「東風汽車(Dongfeng Motor Corporation)」「広州汽車集団(GAC Motor)」「中国第一汽車集団(FAW Group)」などの自動車メーカーと相次いで提携し、広州汽車の「如祺出行(ON TIME)」や中国第一汽車集団が運営するオンライン配車予約サービスなど第三者サービス事業者も加入させた。同プラットフォームの設立は、滴滴と自動車関連企業31社が共同設立した「洪流連盟(Dアライアンス)」の具体的成果となった。

自動車メーカー各社との提携により対応車両数が大幅に増え、滴滴がコンプライアンスを推進する過程で失った輸送力が補充された。自動車メーカーにとっても販売台数が伸び悩む中、モビリティサービスは業態転換の方向性の一つとなる。滴滴の配車予約サービスの運営能力と経験値は自動車メーカーを上回っており、自動車メーカーは滴滴の集客力やビックデータを活用したマッチングを利用することで、車両の運行と乗客サービスに専念できる。

同プラットフォームには今後、B2C(企業対個人取引)モデルの自動車メーカーの他、小規模モビリティサービス事業者も参入する。中国経済メディア「界面(JIEMIAN)」は、滴滴が「斑馬快跑(BMKP)」など複数のモビリティサービス企業と業務提携を結んでおり、これら第三者事業者は滴滴のオープンプラットフォームに最低10%の手数料を支払うことになると報じた。滴滴は今年5月、四川省成都市で配車予約プラットフォーム「秒走打車」とも提携している。

滴滴以外に輸送力集約型モデルを主な方向性としているのは、「美団点評(Meituan Dianping)」「高徳(Autonavi)」「哈囉出行(Hellobike)」などだ。美団点評が運営する配車サービス「美団打車(Meituan Dache)」は今年4月、上海と南京で先行リリースされ、「首汽約車(Shouqi Limousine & Chauffeur)」「神州専車(Shenzhou Zhuanche)」「曹操出行(Caocao Chuxing)」などアクセス・発注数が比較的多い配車予約プラットフォームと連結し、5月には試行地点を約20都市に広げた。高徳も滴滴に先行して今年8月にSaaSプラットフォームをリリースし、対象地域内の専用アプリを持たないタクシー会社など小規模輸送事業者を「新規投資ゼロ」で加入させている。

今回リリースされた滴滴のオープンプラットフォームでは、顧客へのサービスや安全保証について、サービス事業者が責任を負うことが明示されている。プラットフォームの安全面に関する負担は分担されることになるが、自動車メーカーや小規模輸送事業者の安全面に関する経験値は乏しい。美団打車のサービス協約でも、同様の責任が事業者に課せられている。

モビリティサービスの集約型モデルはまだ新しい。利用者に利便性を提供する一方で、プラットフォームとサービス事業者が安全責任と事後処理をどのように負担し合うかが懸案事項となっている。
(翻訳・田村広子)

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