現代自動車、米アプティブと自動運転の合弁会社設立へ 部品会社とメーカーによる新たなアライアンス誕生

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韓国の「現代(ヒュンダイ)自動車」と米自動車部品サプライヤーの「アプティブ(旧デルファイ・オートモーティブ)」が、自動運転の技術開発を目的とする折半出資の合弁会社を設立することが分かった。双方の出資額はそれぞれ20億ドル(約2150億円)で、米ボストンに本社を置く。

新会社では自動運転「レベル4」と「レベル5」の商用化を目指す。2020年に完全自動運転システムのテストを開始し、22年には自動運転タクシー「ロボタクシー」のプラットフォームをタクシー事業者や自動車メーカーなどに提供する。

アプティブは自動運転技術と知的財産権、専門技術を持つ従業員700人を新会社に移管する。現代自動車グループからも自動車エンジニアリングや研究開発、知的財産を提供する他、傘下の起亜自動車や自動車部品の現代モービスも出資に加わる。

今回の合弁会社設立は、副総裁を失ったばかりのアプティブと販売不振に陥っている現代自動車にとって、「グッドニュース」であることは間違いない。

アプティブの副総裁だった韋峻青氏はつい先日、ライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」の自動運転子会社CTO(最高技術責任者)に就任したばかり。そんなアプティブにとって、現代自動車との提携は社内の動揺を鎮め、新たな人材を呼び込むための好材料となった。

現代自動車も、市況が落ち込む中、苦戦を強いられている。2018年の世界シェアは5位で、19年第1四半期の販売台数は前年同期比2.7%減だった。最もポテンシャルの高い中国市場で19.4%減と振るわず、複数の中国工場を閉鎖することも検討していると伝わっていた。

現代自動車を含む全ての自動車ブランドにとって、新エネルギーやスマート化への転向こそが自らを救う道となる。自動運転開発に力を入れるアプティブとの今回の提携は、現代自動車にとって過去最大規模の海外への投資となった。

17年にデルファイ・オートモーティブからスピンオフ(分離独立)したアプティブの強みは、商用化に向けた試験運行を既に実施していることだ。同社は米タクシー配車サービス2位の「リフト(Lyft)」とラスベガスの公道で実証実験を行っている。

アライアンスは自動運転分野では当たり前のこととなっているが、これまでは自動車メーカー同士が手を組むのが一般的だった。その例としては、独フォルクスワーゲン(VW)と米フォード傘下の「アルゴAI」、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の「クルーズ」とホンダなどの提携が挙げられる。自動車メーカーとテクノロジー企業というパターンもある。米アルファベット傘下のウェイモ(Waymo)、百度(バイドゥ)、滴滴出行、小馬智行(ポニー・エーアイ)といったスタートアップ企業などが入った組み合わせがそれに当たる。

今回特に注目したいのは、サプライヤーと自動車メーカーとの提携であることだ。自動運転という分野にとって新たな形のアライアンスとなる。今後も自動運転技術の開発が進むに従い、さまざまなスタイルの提携が生まれるだろう。これまでサプライヤーは自動車メーカーに「絶対服従」だったが、将来的にはこうした不平等な関係も変わっていくかもしれない。
(翻訳・鈴木雪絵)

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