美団、21年4〜6月期の売上高激増 フードデリバリーの利益も過去最高

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中国生活サービス大手「美団(Meituan)」をめぐっては、このところ独占禁止法違反の疑いや配達員の社会保険加入に関してなど穏やかではないニュースばかりが聞こえていた。しかし、美団は2021年第2四半期(4〜6月期)決算で改めて財務面の実力を見せつけ、頭上の暗雲を払拭した。

8月30日に発表された第2四半期決算によると、売上高は市場予想の423億5700万元(約7200億円)を上回り、前年同期比77%増の438億元(約7400億円)となった。中でもフードデリバリー事業の売上高は同59%増の231億2000万元(約3900億円)、営業利益は同95.2%増の24億元(約400億円)と驚くべき伸びを見せた。これはホテル・旅行予約代理事業に次ぐ貢献利益率だ。

しかし一方で、住宅地向け共同購入サービスやシェアサイクル、生鮮食品の即配サービスなど新事業への投資が続き、3四半期連続の赤字を計上することとなった。とはいえ、第2四半期の純損失は市場予測の52億5100万元(約890億円)をはるかに下回る33億5600万元(約570億円)にとどまった。

ユーザー数の伸びも好調で、第1四半期は5900万人弱、第2四半期には5940万人の新規ユーザーを獲得。2四半期連続で、中国のインターネットプラットフォームのうち最もユーザー数を伸ばしたインターネットプラットフォームとなった。ちなみに、競合他社の新規ユーザー獲得数は「京東集団(JD.com)」が3200万人、「拼多多(Pinduoduo)」が2610万人、アリババ集団が1700万人だった。

住宅地向け共同購入サービスのユーザーが増えており、主力事業のフードデリバリーにも好影響を与えているとみられる。フードデリバリー事業では受注件数だけでなく、総取引額も大幅に伸びている。

美団の株価の推移

財務諸表によると、第2四半期はフードデリバリーの配達件数が前年同期比59%増の35億4000万件と大幅に増え、客単価も同0.4%微増して49元(約830円)となった。美団は過去2四半期、利益率を犠牲にして配達員と提携飲食店への支援を強化した。客単価を安定させることで粗利率を確保した結果、今四半期はすでに配達1件当たりの利益が過去最高の0.7元(約12円)に迫った。

王興CEOは決算発表会の席上、住宅地向け共同購入サービス事業「美団優選(Meituan Select)」について「現在は主に倉庫の高密度化や冷蔵物流ネットワークの構築などに力を注いでいる。長い目で見れば、このことが競合他社に勝つ確率を高めるはずだ」と述べている。

拼多多やアリババなどの競合他社が同事業への言及を避ける中、王CEOは美団優選の対象エリアを拡大し、スケールメリットを追求する方針を明らかにしている。美団優選は、今後数年で3〜4億人の新規ユーザーをグループ全体にもたらすことを目標に掲げているが、美団はすでに過去2四半期で1億2000万人の新規ユーザーを獲得しており、目標の実現も近いとみられる。

第2四半期は中国の消費市況が振るわず、各項目のデータがいずれも下降傾向にある中、美団は業績を伸ばし、明らかなスケールメリットと経営効率の高さ、そして成長に向かうエネルギーの強さを改めて見せつけた。

中国国家市場監督管理総局など複数の政府機関は7月末以降、配達員の権利擁護を求める一連の指導意見を発表してきた。美団に最も大きな影響を与えるとみられるのは、配達員の賃金を各地域の法定最低賃金以上とすることや、フルタイムの配達員への社会保障提供と副業の配達員の労災保険加入が求められることなどだ。同社にはこれらのコストの一部をカバーする力はある。とはいえ、これが事業の長期的な収益性に影響を及ぼす可能性もあると指摘する投資銀行のアナリストもいる。

さまざまな議論を呼んだ「中華人民共和国個人情報保護法」が11月1日から施行される。 王CEOは決算発表会でこれに触れ「現時点でデータプライバシーが美団の広告収入にどの程度影響するかは予測できない。しかし、第2四半期のマーケティングサービスの売上高は全体の16.4%と低い割合にとどまっており、事業全体に大きく影響する可能性は低いだろう」と前向きな見方を示した。

(翻訳・田村広子)

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