ファーウェイの独自OS、発表から1年もまだ初期段階

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ファーウェイの独自OS、発表から1年もまだ初期段階

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ファーウェイの独自OS「HarmonyOS(鴻蒙OS)」の最新バージョン「2.0」が発表されてから1年が過ぎた。昨年9月、同社の開発者向けイベントで初めてHarmonyOS 2.0を発表し、12月には開発者向けにベータ版を公開。今年6月にはHarmonyOS 2.0と同OSを搭載した複数の新製品を発表した。

HarmonyOS 2にアップグレードしたファーウェイのデバイスは、すでに4000万台以上となっている。HarmonyOSのエコシステムは開発者が120 万人を突破、アプリメーカー300社以上がパートナーに加わり、合計65機種がHarmonyOS 2にアップグレードした。

HarmonyOSに対応するアプリは多い。しかし、HarmonyOSを使って開発したアプリは多いとは言えず、主要アプリとなると数えるほどしかない。

HarmonyOSは依然として成長の初期段階にあり、同OSを利用して主要アプリを短期間のうちに作り直すのは現実的ではない。これが、HarmonyOSとAndroidの互換性が必要となる理由だ。

HarmonyOSでアプリを開発するには、理論上三つの方法がある。Googleの「Flutter」のようなモバイルアプリ作成用のフレームワークを使用するか、HarmonyOSのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を使って新たにアプリを開発するか、AndroidアプリにHarmonyOSの技術的特徴を加える混合モデルを採用するかだ。

Flutterが公式にHarmonyOSをサポートする予定はないが、生活サービス大手「美団(Meituan)」は今年初め、極めて低い開発コストでFlutterをHarmonyOSに移植し、オペレーションに成功した。美団は「将来的にHarmonyOSを大規模に普及させるための技術を前倒しで開発することができた」との認識を示している。

混合モデルは経済的なHarmonyOSの普及方法だ。EC大手の「京東(JD.com)」は主要アプリの中でも最も早くHarmonyOSを取り入れたが、採用したのは混合モデルだった。混合モデルならば、アプリ全体を大きく修正する必要がなく、HarmonyOSのモジュールを加えるだけでHarmonyOSの技術的特徴を発揮させられる。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のHarmonyOS版は、HarmonyOSのAPIを使用して開発されている。開発は今年の1月から始まり、4月には最初のバージョンが発表された。

ウェイボーでテクニカルディレクターを務める高一航氏は「HarmonyOSはAndroidエンジニアにとって比較的使いやすい。開発環境や開発ツールがAndroidと大差ないため、2週間で使いこなせるようになる。HarmonyOS版の開発プロセスはAndroidやiOSと本質的に変わらない」と話す。

とはいえ、 HarmonyOSは現在のところ開発の初期段階にあるため、AndroidやiOSに比べると、APIの整備が万全ではない。高氏は「例えば、同一文書内に図と文字をレイアウトする機能や、作成済みのレイアウトを再利用する機能がなく、オープンソースのサードパーティライブラリが使用できないため、AndroidやiOSと同様の機能を持たせるのには少々手間がかかる」と説明した。

高氏はHarmonyOSを使用した主要アプリが少ない現状について、短期的には開発コストを考慮して様子見が大勢だが、多くの開発者がHarmonyOSの関連技術を学んでいると強調。開発者の増加に伴い、HarmonyOSのエコシステムの活用が進むだろうとの見方を示した。

(翻訳・二胡)

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