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3Dアニメやバーチャルアイドルを手がける「広州虚擬影業(Xuni Yingye)」が、峰瑞資本(FreeS Fund)の主導するプレシリーズAで1000万元(約1億7000万円)以上を調達した。
2019年に設立された虚擬影業は、オリジナルの3Dアニメ制作やバーチャル俳優のデザイン・運営などIP(知的財産)関連業務を手がけている。特に作品の人気キャラクターをさまざまな方法で売り込み、ファンを抱える独立したバーチャルアイドルに育て上げることで、さらなるビジネス価値の創出を目指している。
中国の調査会社iiMedia Researchは、中国のバーチャルアイドル産業が2021年に62億2000万元(約1100億円)規模に達し、1074億9000万元(約1兆9000億円)もの関連産業を生み出すと予測する。同社アナリストは、バーチャルアイドルのビジネス価値の向上に伴い、関連産業をけん引する力も強さを増し、活用分野も広がるとの見方を示している。
創業者の劉懐氏は2009年からアニメ業界に身を置き、アニメ制作に関する多くの経験を積んできた。虚擬影業の創業当初、チームは優れたオリジナルアニメを制作することを主な目標としていたが、多くの作品を世に送り出すようになって、ある現象に気付く。作品そのものより、個々の登場人物に対して強い愛着を抱くファンが多いことだ。
チームはここからヒントを得た。大ヒット映画を作るには監督・脚本・俳優の全てが一流でなければならない。これは本来アニメ作品にも言えることだが、中国では「アニメ」そのものへの概念が強すぎて、登場人物の重要性が見過ごされているのが現状だ。バーチャル俳優は視聴者が登場人物に感情移入するのを助ける肝要な要素であり、作品自体を生き生きとさせてくれる。
またアニメは制作期間に1年以上を要するため、あるキャラクターがブレイクしても、続編公開までに時間が空くと視聴者は離れてしまう。バーチャル俳優ならこの期間をチャンスに変えられるのだ。
現在、虚擬影業のビジネスモデルはコンテンツ生成、ファンマーケティング、トラフィックの収益化という3本柱になっている。トラフィックの収益化はさらにビジネス・チャネル・プロダクトに細分化されており、最も難しいのがプロダクトだという。キャラクターの特徴を踏まえてファンの購買力や好みを緻密に分析し、ターゲットに刺さるフィギュアや関連商品をリリースする必要があるからだ。
劉懐氏によると、バーチャル俳優は実在のアイドルより細かな人物設定ができ、不祥事などのリスクも減らせる。バイトダンスやアリババ、バイドゥなどの大手が続々とバーチャルアイドルに参入しているのもこのためだ。
とはいえ、ライバルがひしめく中で頭角を現すには高いスキルが求められる。リアルな質感を再現する技術力、コンテンツ企画やファンマーケティングなどの運営能力、マネタイズ能力の3つだ。劉懐氏は自社の強みがポジショニングと技術力にあると考えている。
虚擬影業のキャラクター「鶴追」はバーチャル女優であり、バーチャルシンガーの「初音ミク」やバーチャルYouTuber「キズナアイ」とは立ち位置が異なる。同社はバーチャル俳優に長期的な出演計画を立てており、実際のアイドル育成やマネジメントモデルに近い。作品への出演のほか、バーチャル俳優の日常の一コマを見せることで実在感を持てるようにしている。
技術面でも、他のオリジナルコンテンツとは一線を画す。鶴追はCG映画クラスのハイモデル技術を採用しており、モーションキャプチャなどの技術を駆使して自然な表情を持たせることに成功したほか、レンダリング技術により皮膚や髪の毛、洋服のリアルな質感を再現して、違和感のないビジュアルを完成させた。
今後はより多角的なバーチャル俳優陣を構築し、バーチャル俳優のマネジメントとコンテンツ提供を組み合わせながら、いっそう多彩なマネタイズモデルの確立を目指していく。
(翻訳・畠中裕子)
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