資金流入する「空飛ぶクルマ」、実用までの道のりは

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空飛ぶクルマのコンセプトは2016年頃から新エネルギー車業界に広がり始めた。技術面や商業化の実現に大きな課題を残す中、世界のeVTOL(電動垂直離着陸機)業界ではここ2カ月余り、資金調達や上場の動きが怒涛の勢いで進んでいる。

相次ぐ資金調達と上場

・9月6日、今年5月に設立されたばかりの都市型航空交通(UAM )を手掛ける「上海時的科技(TCab Tech)」が、シードラウンドとシード+ラウンドで計1000万ドル(約11億円)を調達したと発表した。

・9月16日、設立わずか1カ月の「上海沃蘭特航空技術(VOLANT)」が、シードラウンドで数百万ドル(数億円)を調達したと発表。リードインベスターは中国スマホ大手シャオミの雷軍CEOが董事長を務める「順為資本(Shunwei Capital)」。

・9月18日、「上海峰飛航空科技(Autoflight)」が、シリーズAで1 億ドル(約110億円)を調達したと発表。中国のeVTOL企業が一度に調達した最高額を記録した。

中国以外の企業の動きも活発だ。

・8月11日、米eVTOL企業「Joby Aviation」がニューヨーク証券取引所に上場した。上場時の時価総額は約60億ドル(約6600億円)だった。

・9月15日、独eVTOL企業Liliumが特別買収目的会社(SPAC)である「QELL」との合併を通じて米ナスダックに上場した。取締役会長は欧州エアバスの前CEOだ。

・9月17日、米電動航空機「Archer」も同様に、SPACとの合併を経てニューヨーク証券取引所に上場。同社はユナイテッド航空前CEOなどの大物を幹部に迎えている。

ちなみに、世界で初めて米国で上場した電動航空機企業は、中国の「億航智能(EHang)」だ。

資金調達や上場が集中したのは、巨大な市場と関係がある。米投資銀行モルガン・スタンレーは今年5月にeVTOL業界に関する報告書を発表し、eVTOLを中心とする人やモノを運ぶ空飛ぶクルマの市場規模が2040年までに1兆ドル(約110兆円)を突破するとの予測を示した。独コンサルティング会社ローランド・ベルガーは、2050年には世界の主要95都市に空飛ぶクルマ9万8000台が導入されると予測する。

eVTOLは人やモノの移動の問題を解消し、都市整備の負担を減らす。また、新エネルギーの利用による環境保護の概念に沿うため、世界各国の政府も支援している。中国では、四川省が2017年に初めて低空域の共同管理改革を実施し、湖南、江西、安徽の3省にも全域での低空飛行実験の認可が下りた。オーストラリアでは、eVTOLを手掛けるスタートアップ企業が政府から300万豪ドル(約2億5000万円)を調達。日本では今年、経済産業省が空飛ぶクルマが運航する可能性の高い地域での具体的な飛行ルート策定に向けた調査を開始している。

資金、需要、政策の条件が整いつつある中、eVTOL業界は当初の新エネルギー車業界と同様に黄金期を迎えようとしている。

しかし、eVTOLを生産するには巨額の資金を投じて研究を進め、サプライチェーンや生産ラインを整備しなければならない。新興企業にとっては大きな挑戦となる。政策や法規の整備にも時間がかかりそうだ。いかなる製品であっても都市の上空を飛行するには安全リスクが存在し、管理する行政部門も一層慎重になる。また、世界的に見ても万全な商業化プランを持つメーカーは数少ない。

米EV大手テスラのように業界を牽引する企業を目指す上で、eVTOL企業はさまざまな課題に直面している。

作者:WeChat公式アカウント「美股研究社(ID:meigushe)」

(翻訳・二胡)

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