自宅でも外食気分 総菜半製品で若者の胃袋を掴む「珍味小梅園」

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自宅でも外食気分 総菜半製品で若者の胃袋を掴む「珍味小梅園」

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中華総菜の半製品を製造する「珍味小梅園(ZhenWei XiaoMeiYuan)」がこのほどシリーズBで数千万元(数億円)を調達した。出資を主導したのは「星陀資本(TSCapital)」で、財務アドバイザーは「42 Capital」が単独で務めた。

珍味小梅園の創業は2019年。「レストランの味を一般家庭の冷蔵庫へ」を理念とし、健康的な食事と生活スタイルを求める消費者へ100以上の商品を展開している。コストパフォーマンスの高さを重視し、「中国人の胃袋を理解するブランド」を目指す。同社によると、2021年7月、8月単月のGMV(流通取引総額)は前年同期比10倍以上の数千万元(数億円)に上ったという。

調査会社の中商産業研究院(ASKCI)が公表した2021年の中国の総菜半製品市場に関するレポートでは、惣菜半製品の市場規模は約3000億元(約5兆4000億円)に達したと報告されている。年平均成長率20%で推測すると、今後6〜7年で1兆元(約18兆円)規模の市場になる見込みだ。

珍味小梅園の浦文明CEOは、総菜半製品市場は以下の業態に分類されると話す。1つ目はファクトリーブランド(工場が独自に運営するブランド)。2つ目は「西貝(Xibei)」などの外飲食チェーン。3つ目は珍味小梅園のようなスタートアップ。4つ目は「三全食品(Sanquan Food)」「思念食品(Synear Food)」などの冷凍食品メーカー。5つ目は「盒馬鮮生(Hema Fresh)」や「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」など独自の販売網を持ち、EC事業を行うスーパーだ。

同社は2020年からブランド力引き上げのための模索を始めた。中国伝統の味を提供する企業だが、そこに「新しい中華」のエッセンスを加えたいと考えた。同社が重視しているのは以下3点だ。

まず、消費者にとって安心、便利、そして美味しく、温めるなどシンプルな調理方法で済む商品を作ること。現在はインターネットで話題になりやすい「映え」メニュー、家庭料理、点心の3種類を展開している。

映えメニューはネット上で若者の注目を集めやすい。同社によると、中国のソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」では「珍味小梅園小龍蝦撹面(スパイシーなザリガニのあえ麺)」のワードを使用した投稿件数は1万件近くに上るという。家庭料理の商品シリーズは甘めの味付けにされており、主にオフラインで販売している。点心は同社の主力商品ではないものの、今年のECセール「618」で一時1位の売り上げを記録するなど好調だ。

珍味小梅園より画像提供

次に重視するのはブランドの視覚的な印象だ。ロゴやパッケージデザインなどは常に調整を加えている。たとえば、商品のパッケージは販売チャネルごとに素材や見た目を変えて消費者の目につくよう工夫。また、会社のロゴに関しては上海で創業した企業であることからかつて上海の標識などに使用されていた文字の要素を取り入れ、レトロなロゴを現代的でシンプルなレイアウトに融合させた。ブランド名を視覚的に認知してもらうための戦略だという。

電子レンジを使って温める麵商品のパッケージはサトウキビ由来の素材で作られており、エコロジーを重視する若い世代の考えにマッチさせた。

そして宣伝にも注力。ショート動画プラットフォームの「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」や前出の小紅書(RED)などSNSを積極的に活用し、若い層の心を掴むコラボレーション企画などを模索中だ。今年の中秋節には上海の老舗ブランドとタイアップした菓子をリリースした。

珍味小梅園はオフライン・オンラインともに事業展開しているが特にオフラインに重きを置く。浦CEOによると「冷蔵商品には輸送上の制約があることや、オンラインプラットフォームの集客力が頭打ちになっているなどの原因もあり、総菜半製品のオンライン拡大は難しい。オフラインであれば販売できる店舗が多ければ多いほど有利なため、オフラインに勝負をかけている」のだという。同社の商品はすでに盒馬や「每日優鮮(Missfresh)」といった生活サービスプラットフォームや、カルフールなどの大手スーパーでも取り扱われている。

浦CEOは語る。「レストランの味を一般家庭の冷蔵庫へ届けたい。このためには『冷蔵庫に入るまで』の全工程、すなわち当社独自の安全への取り組みや最先端の生産技術、厳格な品質検査や効率の良い冷蔵輸送などを着実にこなす必要がある」。

(翻訳・Qiunai)

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