ゲームバブル終焉か? テンセントとネットイースで異なる次の一手

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ゲームバブル終焉か? テンセントとネットイースで異なる次の一手

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中国IT大手の騰訊(テンセント)と網易(ネットイース)が2018年第3四半期決算を発表した。売上高は、テンセントは前年同期比24%増、ネットイースは同35%増。発表後の株価はテンセントが4%、ネットイースが3%上昇した。

両社とも当初の予想を上回る業績だったが、ゲーム事業の不振という共通の悩みを抱えている。テンセントはゲーム事業の売上高が4%減と、初の減収に転じた。ネットイースのゲーム事業は今年に入って売上高が大幅に増加したものの、純利益は37%減となった。

主力事業の座を追われるゲーム事業

ゲーム事業は両社にとって主力事業のはずだが、ゲーム市場そのものが停滞期に入ったという背景がある。今年3月から中国政府はスマートフォン向けゲームの新作の配信許可審査を停止した。新作をローンチしても、課金が一切できないという状況に陥っているのだ。しかし、実際はそれ以前から、ゲーム産業の収益構造には陰りが見え始めていた。テンセントのゲーム事業は2017年第3四半期から顕著に下降が始まっており、2018年に入ると、スマホゲーム、PCゲーム双方とも低迷期に入った。

2017年第1四半期~2018年第3四半期のテンセントゲーム事業の売上高推移

政府による規制強化の煽りを最も受けたのが、バトルロイヤル系ゲームだ。テンセントの「PUBG(プレイヤーアンナウンズバトルグラウンズ))」は、ゲーム企業関係者によると、月20~30億元(約325~490億円)の損失を出しており、累損は200億元に達しているとのこと。時期は未定だが、近く配信停止の措置が下るとの情報も飛び交っており、テンセントの投資が水泡に帰す可能性もある。

スマホゲームの不振は、ゲーム事業全体の成長に直接影響を及ぼすだろう。今四半期、テンセントのゲーム事業は初の減収となったが、中でもスマホゲームの失速が目立った。第3四半期の総売上高に占めるゲーム事業の割合は32%に落ち込み、こちらも最低記録を更新した。

ネットイースのゲーム事業も同様に振るわない。そこそこのヒット作には恵まれたものの、決定的なキラーコンテンツを生み出すには及ばなかった。過去2年間で最大の話題作と目された「逆水寒」は、2017年7月にクローズドベータテストに入ってから正式リリースされていない。「荒野行動」は、短期間でApp Storeのトップにランクインしたが、韓国のビデオゲーム開発会社Bluehole Studioとの著作権をめぐる争いにより徐々に勢いを失いつつある。

ただし、オリジナルタイトルの開発には定評があり、海外でも好成績を上げている。7月にリリースされた「Identity V」は日本のApp Storeゲームカテゴリでダウンロード数1位を獲得した。第3四半期では、ゲーム事業売上高の10%を海外売り上げが占めている。

2017年第3四半期から、両社のゲーム事業の成長は大幅に失速し、企業全体の成長速度をかなり下回っている状況だ。

2017年第1四半期~2018年第3四半期のネットイースゲーム事業の売上高推移

ゲーム事業は、利益の面でも不振が続いている。代わりに決済サービスや広告が新たな牽引力となっており、テンセントではクラウドサービス事業が決算書に初めて登場した。シャンダ・ゲームズ(盛大遊戯)の譚雁峰副総裁は「この2年来のゲームバブルは終息した」と発言している。

2017年第1四半期~2018年第3四半期のテンセントゲーム事業の粗利、純利

ゲーム事業に代わる一手は?

テンセントもネットイースも、ゲーム事業が事業全体に及ぼす負の影響を食い止めようとしている。

ブルームバーグの今月18日の報道によると、テンセントゲームズは今後、マーケティング予算を大幅に削減するという。国内ゲーム市場では独占に近い状態を維持しているテンセントだが、「ゲームメーカー」の看板はそろそろ下ろして他の事業へ軸足を移すのでは、と業界関係者は推測している。

テンセントのシニアエグゼクティブ・バイスプレジデント湯道生(ドーソン・トン)氏は、「過去20年間におけるインターネットの発展はコンシューマー向けに重点を置いてきたが、これからの20年間は企業向けのインターネットが発展するだろう」と見ている。同社が9月末に発表した組織改革では、クラウド・スマート事業群(CSIG)が発足したと伝えられた。クラウドサービスやスマートリテール、教育、医療、セキュリティ、LBS(位置情報サービス)など様々な分野のソリューションに注力していくとされている。

テンセントに対して、ネットイースは、さらに事業を細分化していくようだ。

ゲーム事業以外にEコマース事業も存在感を強めており、総売上高の30%を占めるまでに成長しているが、これが同社の戦略転換の主要なモチベーションになってくるだろう。Eコマース事業は2017年第4四半期から継続して前年同期比50%増以上という成長を維持している。

ただし、Eコマース事業の粗利率は10%。ゲーム事業の65%に比較するとかなり低い。企業全体の純利益率が2017年第3四半期の20.33%から今四半期の9.47%へ低下していることには、Eコマース事業に関わる支出が相当程度影響しているものと考えられる。

2017年第1四半期~2018年第3四半期のネットイースの粗利、純利

主要事業が振るわない両社だが、テンセントは大胆かつ大規模に方向転換を図っていくのに対し、ネットイースは慎重かつ堅実に歩を進めていくようだ。

(翻訳・愛玉)

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