今日頭条がEコマースに本格参入か、タオバオやジンドンと正面衝突の可能性も

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今日頭条がEコマースに本格参入か、タオバオやジンドンと正面衝突の可能性も

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バイトダンス(字節跳動)傘下のニュースアグリゲーター、今日頭条(Toutiao)が、Eコマース事業に本腰を入れ始めた。

Eコマース専門メディア「億邦動力網(ebrn)」の報道によれば、今日頭条のアプリに商品検索機能が実装され、ユーザーは「レディース」「メンズ」「キッチン用品」などのキーワードで商品検索できるようになった。目下、取り扱い商品は14カテゴリーだ。

今日頭条アプリのトップページから直接商品を検索できるようになった

今日頭条のECプラットフォーム「放心購」で「もっと見る」をクリックすると、例えばレディースファッションの場合は、ハイヒールやワンピースなど、さらに細分化された商品が表示される。ただし、「口紅」「電子レンジ」などのキーワードで検索してみると、価格比較サイトの情報しか表示されない。口紅もレンジも、放心購では以前から取り扱われていた商品であり、現在の検索機能では放心購の全商品を検索できるわけではないようだ。

今日頭条アプリで「ハイヒール」などのキーワードを検索すると、関連商品がずらりと表示される

さらに「もっと見る」をクリックすると、淘宝網(タオバオ)や京東商城のようなデザインで商品が列挙されたページに移る。ここでは売れ行き順やレビューの点数、割引の有無などといった複数の基準で商品を並び替えられる。

「もっと見る」をクリックすると、類似商品が表示される画面となる

商品をカートに入れると決算画面に進むが、その他の多くのECサイトと異なるのは支払い方法。「着払い」にも対応しており、今日頭条がよりユーザー体験を重視していることがわかる。

決済画面

これまでの今日頭条では自分の欲しい商品を見つけるまでに苦労したが、検索機能が実装されたため、欲しい商品に簡単にアクセスできるようになった。検索機能は淘宝や京東のアプリとそっくりだが、今日頭条がニュースアプリということもあり、トップページにお勧め商品の情報が表示されることはない。また、商品の表示順がユーザーごとにカスタマイズされるわけではなく、レコメンドのアルゴリズムはまだ導入されていないようだ。

以前、今日頭条の関係者は北京の日刊紙「新京報」の取材に対して「『放心購』はまだ今日頭条にとって重要な存在ではない。テスト段階のプロダクトだ。しかし、今後重要性が増す可能性はある」と口にしていた。

今日頭条がEコマースに本腰を入れ始めたということであれば、IPOと関係があるはずだ。10月に36Krは今日頭条がPre-IPOラウンドでの資金調達を完了したことを報じたが、IPOで結果を出すために、新たな収益源を開拓する必要に迫られていたとしても不思議ではない。

今日頭条のEコマースは前途多難?

今日頭条のユーザー層は中国EC市場で3位のシェアを誇るソーシャルEC「拼多多(Pinduoduo)」と重複しており、Eコマース分野でも競合となるに違いない。しかし、同分野で拼多多は今日頭条の先をいく。拼多多はミドルレンジ/ローエンド市場で大きなシェアを獲得しており、今日頭条がシェアを奪うにはかなりの困難を伴うだろう。「中国産業信息網」のデータによれば、今日頭条のユーザーに占める二・三級都市在住者の割合は53.95%に達しており、ユーザーのローエンド市場に占める割合も71.03%だ。一方、拼多多は一・二級都市のユーザーが50%に達している。つまり、ミドルレンジ/ローエンド市場では、拼多多が依然として大きなシェアを握っているということだ。

また、今日頭条のアプリは従来、ユーザーを淘宝や京東など他のECへ誘導してきた。つまり、今回の商品検索機能の実装は、こうしたECサイトと正面衝突する可能性もある。

Eコマース業界での礎がない今日頭条は、品質管理やサプライチェーンなどの面で経験が浅く、偽造品の管理やサクラの取り締まりなどでも苦労するだろう。場合によっては、評判を大きく落とす可能性もある。拼多多は多額の研究開発費を投じてこうした問題に取り組むとともに、ネットイース(網易)傘下のEC「網易厳選(Yanxuan)」と提携するなどしてサプライチェーンの強化も図っている。

Eコマース業界の競争は苛烈だ。今日頭条のEコマース事業が順調に拡大しているのは事実だが、今後様々な困難に遭遇することもまた事実であり、「未来は明るい」と断言するのは時期尚早であろう。
(翻訳・飯塚竜二)

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