中国、高層火災にeVTOLを活用 最高100mで1秒に50リットル放水が可能

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

中国、高層火災にeVTOLを活用 最高100mで1秒に50リットル放水が可能

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

都市空中交通の推進技術を開発する「北京瑋航科技(Weflying)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。「順為資本(Shunwei Capital)」が出資を主導し、「変量資本(VarCapital)」「南京瑋衆科技(Nanjing Weizhong Technology)」も出資に参加した。

瑋航科技は世界トップクラスの電動ダクテッドファンによる推進技術を持つテック企業で、清華大学汎用航空技術研究センターのバックアップを受けて設立された。都市におけるエアモビリティ(空中交通)に動力推進技術を提供することを目指しており、特に火災などの緊急時対応に特化したソリューションを打ち出している。

地上交通の混雑が増し、分散型電気推進技術や無人操縦技術が進歩したのに伴い、多くの企業や資本が都市の低空域に目を向けるようになってきた。瑋航科技を創業した張磊氏によると、短期的には有人の空中交通は不透明な状況だが、高層階での火災など緊急時対応については明らかな需要があるため、機能型eVTOL(電動垂直離着陸機)の活用が急速に進むことが考えられるという。

中国では高層建築物の増加に伴い、建物火災における高層火災の比率も年々上昇している。中国応急管理部消防救援局が10月15日に出した通達によると、今年第1~3四半期に消防救援局が受けた高層火災の通報は全国で2808件、死者107人に上り、建物火災全体に占める割合はそれぞれ9.2%と6.8%だった。

高所での消火活動では、作業高度が足りずに消火が進まないという状況が起こりがちだ。従来のリフト方式や消防用ドローンに比べて、ダクテッドファン式eVTOLは作業高度、所要時間、上昇速度、放水量などの点ではるかに優れていると張磊氏は考える。

同社が開発した係留式のダクテッドファンeVTOLは、消防車本体に連結することで「はしご車」として機能する。ダクテッドファン6基を備え、最大積載量は600kgに達する。消火用の放水ノズルを搭載しており、車両につながったケーブルとホースで給電・給水を行う。高度は最高100メートルを保証し、放水量は1秒間に50リットルだ。

現在eVTOLの推進方式には主に、円筒形ダクトにファンを格納したダクテッドファン方式と、ヘリコプターに使われているローター方式の2種類がある。張磊氏は「ダクテッドファン方式のほうが安全性や騒音抑制に優れており、適切な空気力学設計を行うことで積載量や飛行効率のさらなる向上が期待できるため、都市部で稼働させるeVTOLに適している」と語った。

張磊氏は、消防車とつないだeVTOLが高層火災の消防活動で実際に活用されるようになれば、同様の運搬ツールが都市部で飛行する際に必要とする技術や運営経験を蓄えられると考えている。例えば、ビル街の複雑な気流の中でも安全に運行する技術や、離着陸時の騒音の評価と改善など、今後の市場開拓に向けた基礎固めになるという。将来的には消防用eVTOLに人が乗れるようにし、建物外部での消火活動や要救助者の搬送も行えるようにする。

中国では消防用ドローンを開発する国内メーカーも多いが、産業用ドローンをベースにしているため積載量が少なく、製品によっては消火弾を発射する機能しかない。瑋航科技は複数の省にある消防隊とすでに接触しており、製品性能に対して一定の満足度が得られているほか、消防車両を製造する国内大手企業とも提携の合意に至っている。現在、同社の消防用eVTOLは最終組み立て段階にあり、今年末には消火活動のデモンストレーションを行って効果を検証するという。
(翻訳・畠中裕子)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録