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ドローン物流を手がける「迅蟻網絡科技(ANTWORK)」がシリーズBで数千万元(数億円)を調達したことがわかった。出資を主導した雷神資本(THOR CAPITAL)に加え、株主の九合創投(UNITY VENTURES)も参加した。
同社は2015年設立。ドローンを用いた都市部の空中配送ネットワークの構築に取り組んでいる。物流用ドローンのほか、ドローンポート、クラウドベースのUTM(統合脅威管理)、スケジューリングシステムを設計・開発し、これらをシームレスに連携させて、都市空間でスピーディーかつ自動的に貨物を運ぶ配送サービスを提供する。2019年には人口密集地域での特定運行に関するリスク評価を完了させ、中国民用航空総局が発行する都市環境での物流ドローン試験飛行許可証を取得した。
ドローンは比較的スマート化の進んだ新型航空機で、すでにパトロールや空撮、物流などの分野で重要な働きを担っている。また、中国国務院は2019年に「交通強国の建設要綱」を発表し、ドローンによる物流分野を積極的に推進するよう求めている。
迅蟻の章磊CEOによると、ドローン物流にはEC大手「京東集団(JD.com)」や物流大手「SFエクスプレス(順豊速運)」などがすでに進出しているが、主に農村部や僻地の集落などで展開するにとどまっている。このような地域ではドローンにとって一定の電磁環境(さまざまな電磁波で形成される環境)や安全性が確保できることが理由だが、現段階では真に商業的価値を発揮する術がない。章CEOはドローン物流の強みが抜きん出た適時性にあるとしながらも、農村部などでは適時性はそれほど求められる要素ではなく、また利用者の支払い能力も高くないと述べ、反対に都市部であればドローン物流への需要はずっと高いとした。
迅蟻が現段階で主に手がけているのが都市部での即時配送と医療配送だ。製品としては、ドローンポートを備えて6つの貨物保管箱を内蔵する無人ハブステーション「RH1」があり、24時間の無休体制で貨物の納品、中継、一時保管を行う。ドローンでは経路設計や離着陸を自動化したマルチコプター「TR7S」「RA3」の2製品を自社開発している。いずれも最大航続距離は20キロ以上で、積載能力はそれぞれ4キロと5キロ。雨や雪の中でも問題なく飛行できる。
フードデリバリーや宅急便などの即時配送業界では一部で自動化、無人化された運送設備も登場しているが、短期的にはやはり配達員を使った配送体制が根強く残っていく。そこで迅蟻は当面、救急医療などの分野に集中していく計画だ。
章CEOによると、ドローンの持つ機動性や安定性は医療現場で存分に価値を発揮するという。たとえば医療資源に限りがあり、最新鋭の検査設備を持たない病院から相応の検査能力を有する病院に血液製剤や検体を運び、患者の待ち時間を減らすことができる。運送時間に極めて厳しい条件が求められる臓器移植などの場合でも、ドローン配送は最速でドナーと患者をつなぎ、患者の命を守れる。今年3月、迅蟻の医療用ドローンは緊急輸血用の血液を運ぶため、浙江省血液センターのヘリポートからわずか5分で浙江大学第二付属医院のドローンポートへ到着することに成功している。
ドローン物流に挑む企業は、海外ではアマゾン、DHL、UPS、中国国内ではSFエクスプレス、京東、美団(Meituan)などが存在する。しかし商業的には大きな成果を得られていない。都市部でのドローン物流を実現するにはドローンポートなどのインフラや、安全認証システム、サービスシステムの整備が不可欠だと章CEOは述べている。
(翻訳・愛玉)
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