中国カラコン最大手「moody」が180億円調達 設立2年で6回目

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中国カラコン最大手「moody」が180億円調達 設立2年で6回目

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カラーコンタクトレンズブランド「moody」を手掛ける「未目(上海)科技」がシリーズCで10億元(約180億円)を超える資金を調達したことがわかった。米大手投資ファンドの「コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)」と「五源資本(5Y Capital)」がリード・インベスターを務め、既存株主も出資した。調達した資金は製品開発や世界戦略に充てられる。

moodyは設立わずか2年で6回もの資金調達を完了しており、出資者には「高瓴創投(GL Ventures)」「マトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯中国)」、テンセント、「源碼資本(Source Code Capital)」など有名投資機関が名を連ねる。moodyは使い捨てカラーコンタクトレンズで中国国内トップのブランドであり、オンライン販売量は安定して1位を保っている。2020年の年間売上高は2億元(約36億円)を突破しており、今年の取引額は8億元(約140億円)を超える見込みだという。

moodyがこれまでに行った資金調達

moodyの製品価格は89~119元(約1600~約2100円)で、化粧品に比べるとカラーコンタクトレンズのリピート率は高い。マスク生活となった現在、カラーコンタクトレンズは口紅に代わってメイクの必需品となっている。業界に関するリポートによると、カラーコンタクトレンズのリピート率は30~50%に上り、口紅の20%に比べて高いことがわかる。moody製品のリピート率は50%近いという。

同社のユーザーは大都市に住む18~35歳のホワイトカラーの女性がメインだ。製品は使い捨てタイプで、装着期間に応じて1日、1カ月、3カ月、半年の4種類に分かれているが、1日使い捨てと1カ月使い捨てのものがメインだ。1日使い捨てタイプが販売数全体の75%以上を占めるという。

カラーコンタクトレンズという製品の特殊性もあり、消費者は安全性、機能性、着け心地などに高いレベルを求める。中国の消費者の大半は半年から1年間使用可能な製品を選ぶが、欧米や日本、韓国などのより成熟している市場では1日~2週間の使い捨てタイプが主流となっており、日本では半年以上使用できる使い捨てコンタクトレンズの製造を禁じている。

moody Discoシリーズ

moody創業者の慈然氏は36Krに対し、使用期間の短い製品はより安全で健康的だと話す。「コンタクトレンズ装着時には、涙液に含まれるタンパク質がレンズの表面に付着する。日常的な洗浄である程度落とすことはできても、完全に除去することはできず、長期間の装着は角膜に良くない」という。

同社製品はetafilcon A(エタフィルコンA)をレンズの原料に採用。この素材は中国国家薬品管理監督局(NMPA)、米食品医薬品局(FDA)、欧州連合(EU)のCEマークの認証を取得している。moodyはこれにヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)を加えた。製造技術にはサンドイッチ製法(レンズの素材と素材の間に着色剤を挟んで1枚のレンズにする製法)を採用。工場では高精度の自動化生産を行っており、品質管理も確かだ。

さらに、国内外トップレベルのオプトメトリスト(視力・視覚機能の専門資格者)や材料科学者の専門チーム、デザイナーチームと提携し、自社のコンタクトレンズ研究所を立ち上げている。また、オンライン教育の「淘宝教育(Taobao Education Technology)」や三甲眼科専門病院(「三甲」は中国の病院ランク最高レベルを指す)の主任医師、著名なメーキャップアーティストなどと提携してコンタクトレンズを普及させるためのカリキュラムも打ち出している。

中国国内でカラーコンタクトレンズは第3類医療機器(高リスクで厳格な管理が必要とされる医療機器)とされており、生産技術には高い専門性が要求される。現在カラーコンタクトレンズのサプライチェーン企業は主に韓国や台湾にあり、中国本土に優れたOEM工場は少ない。これもブランド間の商品の同質化が深刻で、ブランド知名度が低いことの原因となっている。

今回の資金調達後、moodyはサプライチェーンの強化と開発に力を入れる。同社はすでに3億元(約54億円)を原料や生産ラインの開発に投じており、今後も5億元(約90億円)を投入する予定だという。

moody と 中国ドメスティックブランド「SMFK」コラボの「RARE」限定シリーズ

カラーコンタクトレンズの年間売上高は昨年200億元(約3600億円)を超え、過去5年間の年平均成長率は41%に上る。日本のコンタクトレンズ普及率は約35%だが、中国ではわずか7.5%であることを考えても、まだ大きな成長の余地があることがわかる。moodyの他にも、カラーコンタクトレンズを手掛ける複数の企業が近ごろ相次いで多額の資金を調達しており、市場は大いに盛り上がりを見せている。

moodyの社員の多くはジョンソン・エンド・ジョンソン、クーパービジョン、ボシュロムなどのコンタクトレンズ大手や、プロクター&ギャンブル(P&G)、ロレアルなどの日用品大手、アリババ、バイトダンスなどのIT大手出身者だ。グローバル化を進めるため、moodyは積極的に人材募集を行っている。同社は今年、管理職養成システムを整備し、国内外の有名大学卒業生を多く採用しているという。
(翻訳・山口幸子)

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