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【新華社北京11月25日】中国北京市の北京理工大学のバーチャルアバター(仮想空間での分身)実験室でこのほど、人工知能(AI)でよみがえらせた京劇の名優、梅蘭芳(メイ・ランファン、1894~1961年)の映像がパソコンの画面に映し出された。京胡(京劇の伴奏楽器)の調べとともに、三つのスポットライトが順番に点灯すると、扇子を手にした26歳当時の梅蘭芳が舞台の中央に向かって軽やかに進む。
中国の京劇の名優が、情報技術とAI技術を駆使して現代によみがえった。北京理工大学光電学院の翁冬冬(おう・とうとう)研究員は、昨年、中央戯劇学院と共同で公益科学研究プロジェクトを立ち上げ、リアルタイムに会話できる「京劇デジタルヒューマン」を作ったと述べた。
翁氏は「梅蘭芳の写真を大量に集めて肖像彫刻を制作し、それを高精度レーザースキャナーで読み取ることで、梅蘭芳の基本的な顔の構造を把握することができた」と語る。
彫刻では肌や髪の毛、目などの細かい特徴を具体的に表すことができなかったため、研究チームは梅蘭芳に顔立ちの似た人物を探し出して、顔のデータを収集。基本的な表情を捉えることで、顔を忠実に再現することができたという。
中央戯劇学院伝統戯劇デジタル化高精尖(高精度)研究センターの宋震(そう・しん)主任によると、梅蘭芳の当時の衣装を再現するため、チームは膨大な文献を調べ、北京市内の仕立屋を何軒も回り、ついにデジタル衣装を完成させた。
翁氏は「将来的には、現実と想像を融合させた没入型インタラクティブの『デジタル梅蘭芳』のキャラクターシーンアプリケーションを作りたい。視聴者がVRゴーグルを装着すれば、梅蘭芳の京劇を楽しんだり、梅蘭芳とリアルタイムで会話したりすることができるようにして、科学技術の普及や教育支援などを促進したい」と説明した。
翁氏はまた、「科学技術と中国の優れた伝統文化を融合することで、文化は時空を超え、国を超えることができる。しかし、この研究は容易ではなく、プロジェクトが進むにつれ、責任の重さを痛感している」と語った。(記者/趙旭、強力静、任超)
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