「空飛ぶクルマ」の開発競争進む 実用化に向けた三つの課題

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韓国の現代自動車グループはこのほど、都市航空交通システムを手掛ける新会社「スパーナル(Supernal)」を米国に設立した。同グループの都市航空交通システム部門を前身とするスパーナルは、グループの未来交通に対するビジョンを実現する上で重要な役割を果たす。同社は引き続き「空飛ぶクルマ」とも呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発や改良を進める方針。2024年には米国当局の認証取得に向けて動き始め、28年をめどに初の商業飛行を目指すという。

これ以前にも、中国の自動車大手「浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)」(以下、吉利)や新興電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」、ドイツのダイムラーやポルシェなど多くの自動車メーカーが空飛ぶクルマの開発計画を発表している。

空飛ぶクルマの実用化に向けて

空飛ぶクルマの開発は思いのほか早く始まっていた。空飛ぶクルマの父と呼ばれるグレン・カーチスは1917年、世界で初めて空飛ぶクルマの原型を離陸させることに成功した。それから100年余り経った現在も、多くの企業が空飛ぶクルマの開発にチャレンジしている。

小鵬汽車が開発した空飛ぶクルマの第1世代が発表されたのは2016年。同社は先ごろ、第5世代となる「旅航者X2」を発表した。何小鵬CEOは、2024年に空飛ぶクルマの量産化を実現し、100万元(約1800万円)以下での発売を目指すと発言している。

自動車に翼をつけて飛ばすのは難しくない。しかし、空飛ぶクルマを実際に航行させるには、解決すべき問題が三つ残っている。

一つ目は、騒音と気流の乱れの発生。米テスラ(Tesla)のイーロン・マスクCEOは「空飛ぶクルマはドローンを1000倍に拡大したようなものだ。離陸時に極めて大きな騒音と気流の乱れが発生することは容易に想像できるだろう」と述べている。この問題を解決できなければ、空飛ぶクルマは市民の日常生活をかき乱す迷惑な代物になってしまうだろう。

二つ目は、安全性。小鵬汽車の旅航者X2は、飛行高度が1000メートル、最大離陸重量は760キロだ。万が一にも墜落した場合、どのような結果になるかは想像するのも恐ろしい。

三つ目は、空域管理の厳しさ。吉利傘下の米「Terrafugia(テラフージア)」が開発した空陸両用の軽飛行機(スカイカー)「Terrafugia Transition(テラフージア・トランジション)」は、ずいぶん前に量産化され、発売の準備もできている。しかし、現在もなお中国の空を飛ぶ様子は見られない。中国では空域管理が厳しい上、空飛ぶクルマを管理する制度が確立していないことが原因だ。ちなみに、民用ドローンの飛行高度は500メートル以下に制限されている。

中国に比べれば、米国では空飛ぶクルマに対する規制は緩く、管理制度の整備も進んでいる。そのため、吉利はTerrafugia Transitionのメインターゲットを米国市場としている。

とはいえ、米国でも一般消費者がTerrafugia Transitionを手に入れるのは難しい。価格の高さが問題なのではなく、自動車運転免許に加えて飛行機操縦免許の取得が必要だからだ。

騒音や安全性の問題が解決され、空飛ぶクルマが実際に運用されるようになれば、その航行を管理するためにも航空交通システムに関する規則の整備が必要になるだろう。

作者:WeChat公式アカウント「鋒出行(ID:fengchuxing2021)」
(翻訳・田村広子)

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