薄毛に悩む若者が急増、変わる中国人の植毛意識

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薄毛に悩む若者が急増、変わる中国人の植毛意識

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中国では薄毛に悩む若者が増えるとともに、植毛ビジネスが活況を呈している。植毛関連の広告はオフライン、オンライン問わずいたるところに掲げられ、目にしない日はないと言ってもいいくらいだ。

中国の植毛業界では過去2年間に大きな投資案件が2つあった。業界をリードする「雍禾植髪(Yonghe Hair Transplant)」が3億元(約50億円)、「碧蓮盛(LOTUS)」が5億元(約82億円)の資金調達に成功して関心を集め、植毛クリニックが雨後の筍のごとく現れているのだ。

この植毛という新しいビジネス、一体どのような仕組みになっているのか?

髪の悩みを抱える若者は植毛に抵抗なし

「中德毛髪移植整形医院」の創業者である徐霞氏は「雍禾植髪と碧蓮盛が資金調達に成功した後、我々のもとにも『新しいビジネスをやらないか?』という声が数多くかかるようになった」と語る。彼女は植毛業界に20年以上関わってきた人物だ。

これはほんの一例に過ぎない。「華蓋医療(HUAGAI HEALTHCARE)」による碧蓮盛への出資が決まると、立て続けに10件以上のプライベート・エクイティ・ファンドも同業界に参入。その他のクリニックにもオファーが舞い込んだ。

今年5月には、雍禾の創業者である張玉氏が36Krの取材に対して「過去5年間、売上が毎年100%増となっている」と述べていた。2013年の売上高は3000万元、2014年は6000万元、2015年は1億2000万元、2016年は2億4000万元、2017年は5億元を達成。今年に至っては10億元弱を見込む。業界関係者の話では、碧蓮盛も同様のペースで売り上げが伸びているという。

世界保健機関(WHO)によると、中国の6人のうち1人、約2億人が脱毛症で苦しんでいるという。中国の特徴は、脱毛症に悩む人が若年化しており、80後と90後(1980年〜1999年生まれ)世代の脱毛症率は35%を超えること。 70代生まれと比べると、この世代は容姿を気にする傾向が強く、植毛への抵抗も少ないという。また、所得が増加し、治療費の分割払いシステムや医療美容系消費者金融プラットフォームが普及したことも若者の植毛へのハードルを下げているようだ。

もう一つの特徴は、女性顧客が急速に増加していること。かつて植毛と言えば、25〜28歳の男性顧客が中心だった。実際に、張氏によれば、10年前は同社の顧客の95%以上が男性だったが、現在は約70%にまで低下しているという。

また、新種の植毛サービスも若者を惹きつけている。「熙朵医療美容機構(CIDO Medical Beauty)」の共同創業者である李美瑛氏によると、男性の頭皮への植毛手術が売り上げの約70%で、残り約30%は眉毛やひげ、生え際への植毛を含む「アート植毛」と称する施術だ。

2017年の中国の植毛産業の市場規模は97億元に達しており、今後数年間で植毛および関連産業の市場規模は500〜1000億元に達する見込みだ。欧米先進国では42%が脱毛症に悩んでいると言われており、この比率を中国に当てはめれば、その潜在的市場規模の大きさが理解できるだろう。

植毛業界の業態と費用

この20年間発展を続けてきた中国植毛業界は、大きく分けると4つの事業形態がある。公立医療機関、雍禾植髪や碧蓮盛などの民間チェーンクリニック、「伊美爾(EVER CARE)」や熙朵などの民間美容整形クリニック、そして「恒博植髪(HENG BO HAIR TRANSPLANT)」などの民間直営クリニックだ。

現行の植毛手術費用のほとんどは、移植本数に基づいて計算される。メスを使わないFUE植毛の費用は通常1株当たり8〜12元で、増毛手術はやや高くなる。現状、手術費用の相場は2万5000元以上で、3万元以上かかることもある。

高い顧客価格を見込めるヘアケア産業の利益率は、事業形態によって差が見られる。頭髪関連専門メディア「好頭髪(haotoufa.com)」創業者の徐峰氏によると、公立医療機関の利益は最高で約60〜70%、民間クリニックは35〜40%、大型チェーンクリニックは20%程度とのこと。この差は主に施設数やマーケティング費用などの違いによるものだという。

資料は徐峰氏提供

植毛業界のビジネスモデル

植毛手術は技術の規格化が進んでおり、難易度や事故率も他の外科手術と比べて低いため、チェーン展開に適している。他の美容医療分野と比較すると、料金の透明性も高い。加えて、顧客単価は比較的高く、ニーズも高まっている。チェーン展開すれば、設備機器の調達やリソースの共有、広告費用などの面で有利となる。

雍禾植髪や碧蓮盛は植毛業界におけるチェーンクリニックの先駆者だ。碧蓮盛は主要都市で23の直営クリニックを運営しており、さらに9都市へ進出する予定。雍禾植发は現在30の旗艦クリニックを運営。両社ほどではないが、比較的名が知られている「科髪源(Kafuring Hair Surgeon)」は20都市、「新生植髪(SIMSON HAIR TRANSPLANT)」も30都市以上に拠点を構えている。

結局、植毛業界は投資に値するのか?

目下、この業界のトッププレーヤーの年間売上高は10億元に達しておらず、市場規模は100億元程度と見られている。

華蓋医療は市場規模1000億元程度に達すると見込んでいるが、すでに「天井」が顔を覗かせているのも確かだ。中国の植毛業界における大型投資案件は雍禾植髪と碧蓮盛の2例のみで、それぞれ3億元と5億元を調達したものの、企業の評価額は10億元を超えていない。同業界のベンチマーク企業であるアメリカのボズレーは40年以上の歴史を持ち、年間売上高は1〜5億ドルだ。

また、新たに参入する企業や医療機関が増えて、市場争いも加熱している。業界筋によれば、現在、植毛クリニックの売り上げは全体的に減少しており、植毛クリニックの80%では利益がゼロに近い状況という。

今後2年間で業界は再編期に入る可能性が高く、真に競争力のある企業や医療機関だけが生き残れる時代となるだろう。これまでシェアサイクルや共同購入プラットフォームが辿ったように、経営破綻する事業者が次々と出てきても不思議ではない。
(翻訳・飯塚竜二)

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