設備の点検は無人ドローンにお任せ、「複亜智能」の産業用ドローン

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中国では産業用ドローンの普及が進んでいる。例えば送電線など高所の電力設備点検では、ドローンによるパトロールがすでに一般化している。高所作業の安全性と効率の向上に大きな期待が持てるからだ。

しかし、産業用ドローンを運用するためには、依然として専門のスタッフが現地に赴いて操作する必要がある。上海を拠点とする産業用ドローンサービス企業「複亜智能(FOYOUNG)」は、こうしたマンパワーを減らすべく、「全自動産業用ドローン運用システム」を開発。パトロールの完全自動化を実現した。

同社の全自動産業用ドローン運用システムは、自動離着陸基地、ドローン、パトロールプラットフォームの3つによって構成されている。

1)自動離着陸基地
稼働していない時、ドローンはここに格納される。任務が発生すると、ドローンは基地から自動で飛び立つ。基地には4組のバッテリーが搭載されており、ドローンのバッテリーは自動的に交換される。使用済みバッテリーを自動的に充電する機能も搭載されており、これにより、ドローンは何度もパトロールを行えるようになった。

2)ドローン
「DJI(大疆創新)」製のドローンを採用し、同社が自動飛行および自動撮影の機能を強化している。

高所の電力設備点検を例にとると、同社はまずパトロールに必要な送電鉄塔と送電線の3Dクラウドマップを顧客か専門業者から入手。顧客はパトロールプラットフォームを通じて、パトロールする対象(絶縁体など)をマークするだけで、ドローンは最適な経路や飛行角度などを計算しながら飛行する。

従来のリモコン撮影は難易度が高く、ピンボケや露出過度、撮影漏れなど、さまざまな問題を引き起こしてきた。同社のAIアルゴリズムにより、ドローンが飛行中に機体体勢や撮影パラメータをリアルタイムに調整することで、高品質な写真を撮影・送信できる。

3)パトロールプラットフォーム
パトロールプラットフォームの核は、ドローンから送られてくる画像を分析して対象物を診断すること。AIアルゴリズムが初歩的な診断を自動で行い、専門のスタッフの分析を補助する。

ドローンと基地の間の通信はDJIの専用通信プロトコル、基地とパトロールプラットフォームの間の通信は主に光ファイバーネットワークを介して行われる。これは、リアルタイムで伝送・分析するためだ。同社CEOの曹亜兵氏によると、ドローンが撮影した画像をパトロールプラットフォームに送信する際のタイムラグは500〜800ミリ秒に抑えられているという。

曹氏は36Krに対して「現在、我々の運用システムは電力設備パトロール、航路パトロール、交通パトロール、警備パトロールなどで採用または試用されている。特に電力設備パトロールのニーズが高い」と述べている。警備パトロールの市場規模はさらに大きいが、人口密集地域で導入するにはさまざまな課題もあるため、現在は三・四級都市でテストしている段階だ。

同社の全自動ドローン運用システムは2016年初めから開発され、2018年7月に正式に販売された。今年の売上高は1000万元(約1億6000万円)を見込む。現在の収益源は主に設備・システム販売だが、同社は引き続きアルゴリズムの研究開発を進め、データ分析の付加価値サービスでも利益を上げていく方針だ。

複亜智能は2018年8月にプレAシリーズで1000万元(約1.6億円)を調達。CEOの曹氏は2社の企業設立に携わり、8年間の企業管理経験を持つ。CTOの程亮氏は「航天科技集団(China Aerospace Science and Technology)」に8年間勤務した後、複数のロケット衛星プロジェクトに参加。また、ドローン開発関連でも4年の経験がある。
(翻訳・飯塚竜二)

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