アリババ、中国版ツイッター「微博」の保有株売却を協議中。メディア投資の縮小進むか

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中国EC最大手アリババグループが、保有する中国版ツイッター「ウェイボー(微博)」の株式を売却することを検討している。アリババはウェイボーの株式の約30%を保有している。事情に通じた関係者は、アリババが国有企業の上海メディアグループ(SMG)と協議中だと明かしているが、交渉は初期段階だという。ブルームバーグが報じた。

現段階では、アリババなど関係各所からこの件に関するコメントは出ていない。

企業情報検索サイト「天眼査(Tianyancha)」によると、アリババは2013年4月にウェイボーに対して5億8600万ドル(680億円)の戦略投資を行っている。2014年4月にウェイボーが米ナスダック市場に上場する直前、アリババはさらに4億4900万ドル(約520億円)を追加出資し、希薄化後の持株比率を30%に引き上げた。

2016年9月にアリババが米国証券取引委員会へ提出した報告書によると、アリババはウェイボー幹部から発行済み株式の1.4%に相当する300万株を購入し、持株比率は30.1%から31.5%に高まった。

2021年12月にウェイボーが香港へ重複上場した際の最新情報では、アリババは持株会社「Ali WB Investment Holding」を通じてウェイボーの株式28.94%を保有しているという。

資本面だけでなく、事業面でも2社は緊密に提携してきた。ウェイボーは香港上場の際の提出書類の中で、アリババを一番の大口顧客とし、同社との提携状況が自社の業績や今後の成長に影響すると記している。

アリババにとってもウェイボーはSNSマーケティングやファン経済、トラフィック獲得を進める上での重要なチャネルであり、顧客である企業やブランドの価値を創出しプロモーションを行うという目的にかなう存在だった。

しかしアリババからの収益が増える一方で、ウェイボーの売上高の8割を占める広告・マーケティング事業では広告主離れが加速している。2018年に290万だったウェイボーの広告主は2020年には160万に減少。2021年第1~3四半期にはわずか80万となり、前年第1~3四半期の140万から実に60万も減っている。

連動してウェイボーの売上高も下り坂に突入している。中国金融情報会社「同花順iFinD」によると、ウェイボーの売上高成長率は2019年に2.82%に落ち込み、翌年以降マイナス成長に転じた。2020年の売上高成長率はマイナス4.36%、純利益成長率はマイナス36.65%だった。

2020年4月には、アリババ幹部の不倫騒動を巡るウェイボーの対応が物議を醸した。

当時アリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」総裁を務めていた蒋凡氏の妻が、ウェイボー上である人気インフルエンサーに向けて「私の夫に近づかないで」と警告。この投稿は瞬く間に話題となり、ホットワードランキング入りした。しかし程なくしてこの投稿はシェアやコメントができなくなり、ホットワードランキングからも姿を消す。スキャンダルを後追いした数多くの投稿も削除された。このためアリババがこの件を表に出さないように圧力をかけたのではないかとの疑念が広がった。

これを受けて当局も動き出す。国家インターネット情報弁公室(国家網信辦)はウェイボーに対して事情聴取を行い、ネット上の秩序ある情報伝達を妨害したとして処罰を与えた。

この数年アリババは出資や広告配信などを通じて、新聞やテレビ、SNSなどを含む一大メディア帝国を築き上げてきたが、この不倫騒動をきっかけにメディア投資は縮小へと転じ始める。

2021年9月23日、動画配信サイトを運営する中国メディア「芒果超媒(Mango Excellent Media)」は、アリババが関連会社を通じて保有していた5.01%の同社株を全て売却する方針であることを公表した。

翌10月には、アリババ傘下アント・グループが保有していた経済メディア「財新伝媒(Caixin Media)」の株式を全て売却したことが報道された。

ウェイボーは2021年中に幾度も事情聴取や処分を受けている。昨年1月から11月の間に44回の処分を受け、科された罰金は総額1430万元(約2億6000万円)に上った。

ウェイボー株の売却は、アリババがメディア投資を縮小する動きの一環ではないかとアナリストは見ている。

作者:雷達Finance(WeChat ID:radarcj)、李亦輝、編集:深海

(翻訳・畠中裕子)

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