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自動運転トラックを手がけるスタートアップ「千掛科技」が2億元(約36億3000万円)を調達し、評価額が10億元(約180億円)を上回った。出資者には宅配大手SFホールディング(順豊控股)、バイドゥ(百度)、新興EV(電気自動車)メーカー小鵬汽車(Xpeng Motors)、IDGキャピタルなどが含まれている。
孫浩文氏や丁飛氏らが2021年7月に設立したばかりの千掛科技は、自動運転技術をベースに幹線輸送サービスを提供している。孫浩文氏は以前、自動運転スタートアップ「小馬智行(Pony.ai)」のトラック事業「小馬智卡(PonyTron)」で、研究開発部門のシニアディレクターとして、中国国内での自動運転技術研究開発責任者を務め、丁飛氏はIDGキャピタルで業務執行取締役を務めていた。他の2人の共同創業者も、中国IT御三家のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の管理職出身で、同社のCEOやCTOに就任する可能性もあるという。
2021年に入ってから、ロボタクシー(自動運転タクシー)の商用化は運転支援技術の進展に比べると遅々として進んでいない。とりわけ世界の自動運転業界を先導する米アルファベット傘下の「Waymo(ウェイモ)」で経営幹部が相次いで辞職した後は、業界はロボタクシーの実用化に対してより冷静な目で見るようになった。
しかし、自動運転業界に投資する投資家の1人は、「自動運転業界の成長はこのような時ほど、新たなS字曲線を生み出す可能性が高くなる。幹線輸送分野で自動運転トラックが実用化されれば、それが成長のきっかけになる可能性がある」と述べている。
ロボタクシーが対消費者ビジネスであるのに対し、自動運転トラックは運輸会社を対象とする対企業ビジネスだ。運輸企業はこれまで高止まりする人件費やドライバーの過労運転など、業界で共通する問題に悩まされてきたが、これらの問題にこそ自動運転トラック企業にとってのチャンスが存在する。
運輸業界における生産ツールの1つとして、自動運転トラックは運転の安全性を向上させると共に、企業のコスト削減に貢献できる。
これまでに多数のロボタクシー企業も貨物輸送分野に参入し、より多くの商用化の可能性を模索してきた。
小馬智卡を通じて自動運転トラック事業に参入した小馬智行では、トラック部門が乗用車部門に統合されたが、自動運転トラック自体の開発・テスト業務は継続して行われている。「文遠知行(WeRide)」はトラック向けの自動運転技術開発を手掛ける「牧月科技(MoonX.AI)」を買収して同分野に参入した。
また、既存の運輸・物流企業の多くも自動運転輸送に対する取り組みを強化している。2020年8月、中長距離の幹線輸送を主とするトラック配車プラットフォームを運営する「福佑卡車(FOR-U)」はレベル4のトラックの自動運転技術と運送サービスを提供する「主線科技(Trunk Tech)」と合弁会社を設立。2021年9月には貨物輸送企業「獅橋集団(Lionbridge Logistics)」がバイドゥと「DeepWay」を共同設立し、新エネルギー車の大型トラック「星途(Xingtu)」(第1世代)を発表した。
「図森未来(TuSimple)」「智加科技(PlusAI)」「嬴徹科技(Inceptio Technology)」などは、当初から自動運転トラックの分野に照準を合わせ、現在はトラック製造企業と量産化や開発に取り組んでいる。
千掛科技の参入により、自動運転トラック分野の競争はさらに熾烈になるだろう。
「しかし、大型トラック事業を手掛けるには、企業DNAの半分を運輸企業のそれに変換させねばならない」と自動運転業界の関係者が語るように、応用シーンに対する理解は技術力と同じくらい重要だ。
自動運転トラック分野の競争では、業態転換したロボタクシー企業にしろ、新たに参入した従来型の貨物輸送企業にしろ、あるいはもともとトラックを手がけていた自動運転開発企業にしろ、シナリオと技術をより早く結び付けられた企業が、より早く市場を開拓するチャンスを手にすることができる。
今回の千掛科技への出資にはSFホールディングも参加しており、将来的には両社が幹線輸送分野で提携する可能性もある。
(翻訳:浅田雅美)
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