データから見える中国の不動産不況

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データから見える中国の不動産不況

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昨年末、不動産業者は業績を少しでも伸ばそうといつにも増して焦っていた。

2018年12月14日、中国国家統計局が2018年1〜11月期の不動産業界データを発表。それによると、一・二級都市では購入規制が継続中であり、三・四級都市では「棚改貨幣化(老朽化物件の取り壊しに対して立退料を支払う政策)」の勢いが衰えた。住宅ローン引き締めも続いており、不動産需要は依然として低下したままだ。

同期間の売上高は過去最高を記録したが、月ごとの増加率は前年同期比で減少。在庫物件も増加している。不動産企業の資金が底をつきはじめ、土地購入の増加率に限界が見られる中、竣工面積は前年同期比で1年間下降が続いている。また、国房景気指数(全国不動産開発業総合景気指数)も2カ月連続で下降……データを細かく分析すればするほど、根深い問題が見えてくる。

2018年がピークか

同データによると、1〜11月期の販売用不動産の売上高は12兆9500億元(約207兆円)で、前年同期比12.1%増となった。1〜10月期と比べると、増加率は0.4ポイント下がっている。1〜11月期の販売用不動産の販売面積は14兆8600億平方メートル(前年同期比1.4%増)で、1〜10月期と比べて増加率は0.8ポイント下がった。

「58安居客不動産研究院(58 ANJUKE INSTITUTE)」チーフアナリストの張波氏は「今年の売上高は最高になるかもしれない。2017年は13兆3700億元(約215兆円)だったが、2018年の売上高は14兆元(約225兆円)を大きく突破する可能性が高い。ただし、この数値はピークとなるだろう。今後は緩やかに下降していくはずだ」と分析する。

シンクタンク「易居研究院(E-house China R&D Institute)」のディレクター厳躍進氏は「今年1〜11月期の販売用不動産の販売面積は前年同期比で1.4%増となった。物件の販売量は増え続けているものの、増加率の幅が狭くなっている。最近、不動産市場は冷え込んでおり、デベロッパーのプロジェクトは市場に受け入れられていない」と述べる。

オフィス物件と商業物件を取り巻く環境はさらに厳しい。オフィス物件の売上高は6.4%減少し、販売面積は11.1%減少。商業物件はそれぞれ0.2%、5.1%下がった。同時に在庫物件が増加しており、11月末のオフィス物件の空室面積は26万平方メートル増加したという。

総合不動産サービス会社「第一太平戴維斯(サヴィルズ)」華北エリア市場研究部責任者の李想氏は「販売用不動産の販売は、緩慢ながらも成長を維持しているが、増加率は下がっている 。一部の都市では購入制限、住宅ローン制限、販売制限などの政策の影響で、オフィス物件および商業物件の販売は明らかに鈍化しており、在庫物件も増えている。つまり、住宅用物件はそれなりに売れているものの、オフィス物件および商業物件は売れ残っているということだ」と解説する。

前売り制度により竣工が遅延

着工データはデベロッパー向けの「物差し」だ。デベロッパーは将来を見据えてプロジェクトを早期に立ち上げ、着工面積を増やしていく。しかし、2018年は、前2年間に仕入れた土地に依存して着工面積を伸ばした。

1〜11月期、物件の着工面積は18億8895万平方メートルで16.8%増加。増加率は0.5ポイント上昇した。そのうち、住宅物件の着工面積は13億8536万平方メートルで、19.3%増加している。

「中国指数研究院(CHINA INDEX ACADEMY)」のアナリストは「着工意欲は高まっている」と分析。また、前出の厳氏は「最近、着工に関する数値は比較的高まっているが、これは政策の効果が現れてきたためだ。さらに、不動産会社によっては、竣工前の販売許可を取得するために、新たに着工するケースもある」と述べている。

ただし、着工面積の数値は伸びているものの、竣工面積は1年間下がり続けている。

1~11月期、物件の竣工面積は6億6856万平方メートルで12.3%減少した。そのうち、住宅物件の竣工面積は4億7178万平方メートルで、こちらも12.7%減少している。

厳氏は「竣工面積は前年比でマイナス成長となったが、これには2つの原因がある。ひとつ目は、過去数年間における土地譲渡の規模が小さかったこと。ふたつ目は、前売りするために早期に開発するが、完売すると工事を先延ばしにして竣工に至らないデベロッパーがいること」と明かした上で、「今後の不動産の供給により、プロジェクトの竣工が減り続ける状況は改善するだろう」と述べている。

前出の張氏も「物件の前売り制度は、着工から前売りまでの開発ペースを速める一方で、前売り後のペースを遅延させる。特に第4四半期に入ってからはデベロッパーへの資金圧力がますます高まっている。このことも竣工面積が低下している原因だ」とする。

不動産業は頭打ちか

2018年1~11月期、デベロッパーの土地購入面積は2億5326万平方キロメートルで前年同期比14.3%増加したが、増加率は1〜10月期よりも1ポイント下降。土地取引額は1兆3746億元(約22兆円)で同20.2%増となったが、増加率は1〜10月期よりも0.4ポイント下降した。

厳氏は「土地購入面積の増加は、都市によっては現実とかけ離れた話だ。多くの都市では最近になって流札が頻発している。一部都市が供給地を増やしているが、これは賃貸住宅を建設したり、政府が資金援助して住宅建設を加速させたりしているものだ」と述べている。

また、張氏も「今月、不動産業界の成長率は下落している。これも国有地使用権の流札件数の高まりと関係がある。11月までの全国における流札はすでに1000件を超えている。また、落札価格が市場価格を上回るプレミアム率も明らかに下がっている。その下落幅は一級都市は約10%、二級都市は約20%、多くの三・四級都市は30%を超えており、投資の増加率を下げる一番の要因となっている」と事情を明かす。

2018年1〜11月期、全国の不動産開発投資は11兆83億元(約178兆円)で、前年同期比で9.7%増加。増加率は1〜10月期と横ばいとなった。そのうち、住宅投資は7兆8027億元(約126兆円)で、前年同期比で13.6%増加。増加率は0.1ポイント下降した。住宅投資が不動産開発投資全体に占める割合は70.9%に上る。

中国指数研究院のアナリストは今後について「不動産市場の環境は引き続き厳しくコントロールされ、長期的効果を維持するメカニズムも着実に推進され、市場の安定化は進むはずだ。販売用不動産の販売増加率は減少を続けると思われるが、すでに大規模な土地成約が済んでいる状況から判断するに、着工件数は増え続ける。特に人気都市の在庫物件はまれに見る少なさで、新規着工案件のニーズは依然として大きいだろう」と展望した。
(翻訳・飯塚竜二)

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