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教育業界でスマートデバイスへの需要が徐々に顕在化してきている。学生や教師が教育関連デバイスを選ぶ際は、授業データをどのようにリアルタイムに、違和感なく収集できるかを考慮するという。中国のシンクタンク前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)の推計では、ペン型スキャナー、スタイラスペン、スマートデスクライトなど教育関連の新興デバイスの市場規模は2020年に約89億元(約1600億円)となった。
2016年に設立された「棒棒帮科技(Bangbangbang Technology)」は、ドットマトリックス(点の二次元配列)コードとチップレベルのソリューションを中核事業とし、アナログ筆記をデジタルデータに変換するソリューションを実現した。紙に書いたものをデジタル機器のモニターに転送し、そのまま見られるデジタルペンを開発したのだ。
学生がデジタルペンを使って教材に書きこんだものがモニターに投影され、筆跡や字の大きさ、位置、記載内容までがリアルタイムに再現される。
棒棒帮科技の創業者・張鴻亮氏によると、同社製のデジタルペンと付随のソリューションにはチップ、レンズ、エンコーディング(符号化)機能、デコーディング(復号化)機能、印刷編集ソフト、SDK(ソフトウェア開発キット)などが含まれ、光学、チップ、コーディング、画像、印刷など多岐にわたる技術を活用している。
同社はこれらのエフェクトを実現するにあたり、二つの要素を必要とした。一つ目はデジタルペン本体。デジタルペンは独自の認識系アルゴリズムを搭載するチップ、バッテリー、カメラモジュールと交換可能なペン芯で構成され、書きながらの読み取りが可能になった。ネットワークに接続すればデジタルペンはデータ収集の入り口となり、収集したデータを電子端末に転送する。
二つ目は教材の紙面に印刷されたデータマトリックスだ。補助座標に相当するもので、カメラやチップがコードを認識し、デコードすると筆跡座標を算出する。これによってモニターでオリジナル画像が再現できるのだ。
棒棒帮科技のコアコンピタンス(他社に真似できない中核的な強み)は、以下の三つにあると張氏は考えている。
一つは、自社で開発したデコード用チップだ。棒棒帮科技が独自開発したチップは画像の撮影・処理、データマトリックスの解析までを一カ所に集積できるため、デコードの効率、認識率を高め、消費電力を低減させ、コストも削減する。
次に、モニターでの表示の質だ。張氏によると、デジタルペンは筆圧や筆運びの再現性が製品の使用感に影響し、モニターに投影した際の表示の質を左右する。棒棒帮科技は二種類の圧力検出技術を組み合わせ、筆圧検出の精度を上げている。モニターに表示される筆記も、線の太さや筆運びの勢いなどが再現される。
最後は紙への印刷の質だ。現在、市場に流通するデータマトリックス用の印刷用紙は灰色がかっている(グレースケール10以上)が、棒棒帮科技の技術を用いると印刷用紙は一般的な紙と同等の白さに近づけられ(グレースケール4以下)、印刷されるコードもより目立たなくなっている。
同社は主に教育分野で事業を展開。教育関連のクラウドプラットフォームや出版社、教材出版社や大型印刷工場などと提携する。生徒1人ずつがタブレットなどの端末を使用して実施されるスマートクラスルームなど実際の授業への導入を進めており、生徒が端末上で書いた筆記を教師がスマート黒板に写すなどの形式で活用される。こうした授業の利点は、端末上で全生徒のタブレット画面を表示できることだ。また、AIを使った書写の練習や、教師によるリモート添削にも活用できる。
棒棒帮科技の大部分のコアメンバーは通信機器大手ファーウェイ、通信キャリア中国電信(チャイナテレコム)、電子機器受託生産フォックスコン(富士康)、総合ソフトウェア・ITソリューション開発チャイナソフト・インターナショナル(中軟国際)などの出身で、すでに取得した特許権やソフトウェア著作権は70以上に上る。創業者の張鴻亮氏はこれまでスマートホームやデジタル出版、教育IT化サービスなどの分野で十数年のキャリアを有する。技術パートナーのJimmy氏は非可視型コードの印刷、Cooper氏は筆跡鑑定技術で長年のキャリアを有する。
(翻訳・山下にか)
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