スマートデバイス・本人認証・データ連携、中国でキャンパスのデジタル化が進む

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スマートデバイス・本人認証・データ連携、中国でキャンパスのデジタル化が進む

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スマートキャンパス向けにソフトウェア・ハードウェアを一体化したサービスを提供する「新中新(Synjones)」が先日、プレIPOラウンドで1億元(約18億円)以上を調達した。出資者は「合肥高投(Hefei Hi-Tec VC)」「鼎暉資本(CDH Investments)」。調達した資金は研究開発、サービス能力の拡大、市場運営とマーケティングなどに充てられる。

新中新は1990年に設立された、中国国内で最も早いキャンパス向けICカードシステムの提供業者だ。設立当初からキャンパスライフにまつわるサービスを中心に展開し、そこから教育、教務管理へとサービス範囲を拡張した。現在、新中新が提供するサービスには基盤システム以外にセキュリティ対応、運営システム、データベース、データウェアハウスなどの機能が含まれている。オプションサービスとして、モバイル向けポータル、学校の各部門の管理システム、決済プラットフォーム、本人認証プラットフォームなどを提供する。端末はICカードのほか、決済端末、本人認証用端末、セルフサービス用端末などのスマートデバイスがある。

政府系シンクタンク前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)のデータによると、2019年のスマートキャンパス全体の市場規模は750億元(約1兆3400億円)で、2026年までに1890億元(約3兆3900億円)、年平均成長率(CAGR)は約14%に達すると予測されている。

プレIPO段階に入った新中新は、産業チェーンでの位置付け、プロダクトや技術、顧客層、サプライチェーン、組織力などの点で成熟しており、業務拡大に向けて好循環を生み出している。

「トップレベルの大学を対象とした新中新の市場シェアは約60%だ」と新中新の申剣光総経理は語る。

ICカードのようにインフラとなるシステムを提供する業者は、キャンパスのデジタル化事業で優位性を持っている。継続的にサービスを提供する中で、キャンパスでの消費データ、各種教務管理データなど大量のデータを積み上げており、それらはほかへの移行が難しいからだ。

キャンパスのデジタル化事業には絶えず新しい需要が派生し、基盤システムを基に、機能を更新したり新しく開発したりする必要がある。顧客となる学校は、基盤システムを購入した後、同じ業者から追加サービスを購入していくため、顧客の継続利用率が高くなる。

大口顧客にはより複雑なカスタマイズ要件が発生することが多く、どのように標準機能とバランスを取り、より効率的な開発を行うかが課題だ。

「大口顧客の要望は業界の需要を先取りしていることが多い。彼らの多様な要望に沿うことでデータと開発リソースを蓄積し、それを汎用的なモジュールに落とし込み、標準サービスの質を高められる」と申氏は説明する。

主要大学への導入事例を積み上げたことで、新中新は業界内でブランドを確立した。この業界では通常、入札で導入を決定するため、ブランド力は市場を開拓するための重要な要素だ。業者を決定する際にはブランドの知名度、存続期間、過去の導入事例などが重要視される。

また、キャンパス向け事業は季節性が強く、主要機器の生産とソリューションの導入は5〜9月、納品は10〜12月に集中している。事業の季節性が強いことは、生産管理でも課題となる。自社工場だけで生産を行うと、納品のピーク期以外は稼働率が低くなり採算が合わない。しかしスマート機器は更新頻度が高く、サプライチェーンが柔軟、迅速で精度が高いことが求められるため、単純に社外に生産を委託するのではこれらの要求を満たすのは難しい。

そのため柔軟性の高いサプライチェーンを構築する必要がある。これについて申氏は「柔軟なサプライチェーンについて私たちが経験から学んだことが3つある。1つめは、顧客の需要を核とする研究開発からアフターサービスまでのクローズドループの中にサプライチェーンを組み入れて計画・管理を行うこと。2つめはモジュール化と標準化を基礎とすること。3つめはデジタル化ツールと運営に対する考え方を重視することだ」と補足している。

キャンパスのデジタル化は成長の余地があり、利益を獲得できるチャンスは大きい。重点大学でもデジタル化に関する支出が予算に占める割合は小さく、重点大学以外の教育機関ではデジタル化の水準が低い。市場には大きな可能性がある。

今後の発展に関して、申氏は「主要プロダクトであるICカードをビックデータを基にしたスマートキャンパスの包括的なソリューションとしてアップグレードし、キャンパスであらゆるシーンのデジタル化を開拓していく。またAI+IoTプラットフォームを通じて、サービスロボットやチャットボットなどを開発し、多様なロボットをさまざまなシーンへ投入していく」と説明した。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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