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ライドシェア中国最大手の「滴滴出行(Didi Chuxing)」が、金融サービスをローンチした。まずは、重大疾病保障を提供する「点滴相互」と、健康保険・自動車保険・旅行保険、資産運用サービスなどを提供する「点滴求助」の2商品だ。
新たな収益源へ
滴滴出行が新たな収益源として望みを託す金融事業は、従来のライドシェア事業で積み上げてきたデータと顧客を存分に活用することになる。2017年末時点で同社のライドシェアサービス利用者は4億5000万人、利用回数は74億3000万回に達した。外資の競合企業Uber Chinaを買収してからは市場シェアの90%以上を握っており、これまでに蓄積してきたドライバー、車両、取引関連のデータは膨大なものになる。
一方で、早急に新たな収益源を確立したいという意図も透けて見える。2018年上半期、同社の損失額は40億4000万元(約650億円)と、前年の25億元(約400億円)を大幅に上回った。市場が冷え込む中、金融事業の成功は必達のミッションだ。
着実に基盤を築いてきた金融事業
滴滴出行が金融事業を立ち上げるにあたって、まず着手したのは保険だ。
2015年、滴滴出行は保険最大手の中国平安保険(PING AN INSURANCE)から20億ドル(約2100億円)の出資を受けて、中国平安保険のグループ企業「中国平安財産保険(PING AN PROPERTY INSURANCE)」と共同で、ドライバーと乗客を対象とした傷害保険を提供し始めた。
2016年にも生保大手の中国人寿(China Life Insurance)から6億ドル(650億円)の出資を受けて、1万6000台に対して車両保険を提供。同年3月には保険代理事業の営業許可を取得した。同時期には香港の子会社を通じてリース会社も立ち上げている。また、複数の保険会社と共同で、20以上の財産保険や生命保険商品を発売した。
2017年には企業買収という形で、金融事業には欠かせない決済サービス事業の営業許可を取得。消費者金融やオートローン事業への基礎固めを終えた。
そして、保険代理、決済サービス、ローン、ファクタリング、インターネットファイナンス(少額融資)と5事業の営業許可を取得し、基本的な金融エコシステムを築いた滴滴出行は2018年2月、ついに金融サービス事業部を立ち上げた。バイドゥ、アリババ、テンセント、京東集団(JD.com)という超大手に並び、金融事業を手がけるIT企業の仲間入りを果たしたのである。
潜在力を秘めるインターネット保険
非金融機関である滴滴出行にとって、融資、貸付、資産運用といった業務はハードルが高い。一方、保険は着手しやすい分野だろう。また、中国では保険サービスのオンライン化は発展途上段階で、成長が見込める。
「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」の調べによると、2015年の中国のオンライン保険販売市場では、保険料収入が2223億元(約3兆5600億円)に上り、4年前の69倍の数字を記録。また、2024年には相互保険市場は7600億元(約12兆1600億円)規模になるとの予測もある。
2018年11月、滴滴出行は100の重大疾患を保障する1年満期の定期保険商品をリリースした。運営は衆安保険(Zhong An Insurance)、顧客獲得は滴滴出行が担う。そして、ついに12月末、重大疾病保障を提供する「点滴相互」と、健康保険・自動車保険・旅行保険・資産運用サービスなどを提供する「点滴求助」をスタートさせたのだ。
保険事業は同社にとって、金融サービス事業の基盤となるだろう。しかし、大々的に展開していくためにはさらなる業務開発が必要だ。
(翻訳・愛玉)
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