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音楽ストリーミングサービスの「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」は、ソーシャル機能を「武器」にユーザーを取り込もうと考えているようだ。
網易雲音楽は1月4日、年間リスニング数、最も多く聴かれた曲、年間人気歌手などをまとめた、2018年リスニングレポートをアプリ上で発表。同レポートが発表されると多くのユーザーが関心を示し、「中国版ツイッター」微博(Weibo)のホットトピックス入りを果たすなど話題になった。
レポート内には「一歌一遇」というサプライズも用意されていた。これは自身のリスニング履歴などから嗜好が近いユーザーを紹介してくれるマッチングサービスで、マッチングされた相手とはチャットもできる。マッチしてくれる相手は、お気に入りリストに保存された曲が似ているユーザーから選出されるようになっているようだ。
この一歌一遇は試験的に導入された機能だが、ユーザーの反応次第では正式に実装される可能性もあるという。
同社の朱一聞CEOは「網易雲音楽は音楽コミュニティであり、ソーシャル性によって多くのユーザーを惹きつけたい」と述べている。
早期に実装された「楽評(音楽レビュー)」からは、網易雲音楽がユーザーの取り込みにソーシャル機能を重視していることがわかる。楽評は単純なレビュー機能だが、ユーザー同士の交流を盛り上げ、ユーザー定着率を上げてきた。「歌単(リスニングリスト)」も同様だ。ユーザーがタグ付けした楽曲からデータを収集。レコメンド機能をブラッシュアップさせるとともに、ユーザーの好みにマッチする楽曲やユーザーを紹介している。
ライバルの「騰訊音楽(テンセント・ミュージック)」もソーシャル機能でユーザーを惹きつけている。
昨年12月に米国上場を果たしたテンセント・ミュージックだが、同社のIPO目論見書には、主な業務として「オンライン音楽サービス」「ソーシャルエンターテインメントサービスとその他」と記されている。そのうち、最も売り上げに貢献しているのがソーシャルエンターテインメントサービス事業で、2018年第3四半期の部門別売上高で全体の70.4%を占めている。一方、オンライン音楽サービスの売上高は29.6%だ。一度限りの支払いで完結してしまう楽曲販売を収益源とするオンライン音楽サービスとは異なり、ソーシャルエンターテインメントサービスはさまざまな可能性を秘めている。実際に、テンセント・ミュージックは先のIPO目論見書で「ソーシャルエンターテインメントサービスはユーザーの交流に多くの機会を提供している。ユーザーが互いにバーチャルギフトを購入して贈りあうなど、さまざまな収益が期待できる」と記している。
網易雲音楽はより多くのユーザーを取り込むべく、試行錯誤しながらソーシャル機能を強化している。例えば、網易雲音楽アプリではショート動画コンテンツを導入。昨年には歌手とユーザーが交流できる独自ライブアプリ「LOOK直播」もローンチした。総じて、網易雲音楽が「音楽ソーシャル」を重視しているのは明らかで、引き続き新たなソーシャル機能を模索していくはずだ。
網易雲音楽とは異なり、「パンドラ(Pandora)」や「スポティファイ(Spotify)」の収益源は月額課金(サブスクリプション)と広告収入だが、両社とも収益化に苦戦している。音楽ストリーミングサービスプラットフォームにとっては、ソーシャル機能が突破口となるだろう。
(翻訳・飯塚竜二)
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