美容医療プラットフォーム「新氧」、ミクロの視点が大きな成功につながる

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美容医療プラットフォーム「新氧」、ミクロの視点が大きな成功につながる

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美容医療プラットフォーム「新氧美容整形」を運営する「新氧科技(So Young)」は、2018年9月にシリーズEで7000万ドル(約80億円)を調達。「資金調達の冬」が本格的に到来する中、ユニコーンの仲間入りを果たした。

同社は同業界へ参入するにあたり、市場を徹底的に調査した。「美容医療機関を利用する人は毎年何人いるのか?」「彼らは公立と民間、どちらの医療機関を利用するのか?」「利用する医療機関の規模、所在地は?」「その医療機関の売り上げは?」「医師の給与は?」「賃料は?」「薬品の仕入額は?」「広告予算は?」などさまざまな項目について調査・分析を行い、「美容医療産業は、顧客獲得に最もコストがかかる」という結論を導き出した。そして、消費者は美容医療機関の広告を信用しておらず、多額の予算を投じて広告を打ってもあまり響かない現状が明るみになった。

一方、一般の医療機関については、患者の間に一定の評価基準が確立されている。例えば、公立医療機関は政府や地方自治体の衛生部門がランク付けを行っている。新氧はこうした判断基準が美容医療業界にはまだ存在していないことに着目し、同業界の信用システム構築に力を注いできた。

36Krは同社CEOの金星氏に話を伺った。

――まず、新氧の信用システムがどのように構築されたのか、詳しく教えてください。

「過去5年間、我々は一つのことに注力してきた。美容医療の体験を共有してもらう方法を模索してきたのだ。なぜなら、美容医療の体験者が実際の体験をシェアすることで、他のユーザーは自分に合った医療機関を選ぶことができるようになるからだ」

「ところが、医療機関は、施術体験談を提供してもらうことが最も効果的な顧客獲得方法であることに気づき、業者に虚偽の情報を投稿させるなどの行為を頻発させた。我々の挑戦は、技術およびオペレーションのノウハウで、真偽を見極めることだ。例えば、関連キーワードによるフィルタリング、類似画像の自動検出、専門家などによる審査などを行っている」

――そもそも美容医療の経験者に、自身の体験をシェアさせること自体難しいのでは。

「確かに難しいが、問題はユーザーがコミュニティを理解しているかにかかっている。コミュニティ運営の難しさは、コミュニティの機能にあるのではなく、ユーザーの動機をきちんと理解できているかどうかだ」

「例えば、最初のユーザーが美容医療の体験を投稿するためには相応の動機が必要だが、これらの人たちが共通して持つ動機を見つけなければならない。そこで、我々が着目したのは、多くの美容医療経験者は術後の回復期にさまざまな不安や疑問を抱えており、誰かに話を聞いてもらいたいと感じているということだ。我々はこの点でユーザーと積極的にコミュニケーションをとり、同じ不安や悩みを抱える人のために自身の経験をシェアしたいという欲求を掻き立てた」

「仮に1%のユーザーがシェアしたいと思ってくれれば、それがブレイクスルーとなる。しかし前提として、コミュニティの『雰囲気』づくりは欠かせない。美容医療の過程におけるユーザーの心理、感情の変化を理解しなければならないのだ」

――「雰囲気」についてもっと具体的に教えてください。また、コミュニティの運営についても具体的な例を出していただけますか。

「コミュニティ運営で最も難しいのは、立ち上げ期だ。コミュニティ運営企業の多くはユーザー数を増やすことばかりに目を向けており、ユーザーに見返りを与えることでコンテンツを投稿させている。しかし、これは逆効果だ。コミュニティの雰囲気は通常、ユーザーが少なければ少ないほど良い」

「ローンチした初期はユーザー数は少ないかもしれないが、純粋に同じ趣味嗜好で集まったユーザーであるため、真面目にコンテンツをシェアしてくれる。そのため、初期にどのようにコアユーザーを確保し、どのように安心感を与え、どのように自発的に交流してもらうかが重要だ。我々プラットフォームとしては、より良い雰囲気を作り、イベントを企画してコミュニケーションを促進するなどして、ゆっくりと熟成させていくことが大切だ。一度安定してしまえば、その後のユーザー獲得はより容易になる」

――二重瞼の手術を例にとると、施術代は医療機関によって200〜20万元(約3200〜320万円)と大きな差があります。新氧では施術代を明示していますね。ユーザーにとっては良いことですが、中間業者の利益を下げることにもつながります。

「産業インターネットは今活況を呈しており、我々はこのトレンドをチャンスととらえている。既存産業の不合理な部分を取り除く一方で、中核となる重要部分については残したいと考えている」

「我々のプラットフォームが業界をより透明化、合理化させたことで、消費者のニーズにより近い医療機関が登場する一助にもなっている。美容医療は他の業界とは異なり、一人の医師が毎月担当できる施術件数が限られている。どんなに腕の良い医師でも毎月200件が限界だ。人気が高ければ高いほど施術代も高まる一方だ。我々のプラットフォームは、それらの希少な資源と価値を反映させた内容になっている」

――データから判断するに、美容医療業界は全体的に厳しい状況にあります。この状況をどのように理解していますか。

「それは本質的に消費者が変わったからだ。2013年ごろから、多くの『90後(1990年代生まれ)』が美容医療の主要顧客となった。昔の20〜30歳の顧客と、現在の20〜30歳の顧客では、考え方や美的感覚、情報収集方法などの面で大きく異なる」

「古い方法では、こうした新世代の顧客を取り込むことは難しい。現代のユーザーは情報に非常に敏感で、医療の専門家やコンサルタントよりも多くのことを知っているケースもある。医療機関のオーナーの考え方が古い習慣にとらわれたままならば、ビジネスが難しくなるのは当然だ」

――この「転換期」を裏付けるようなデータはありますか。

「美容医療機関の閉店率を見れば、変革の段階にあることがわかる」

「毎年多くの医療機関が閉鎖しているが、同時に多くの事業者が開業している。しかし、美容医療機関の運営はヘアサロンのように簡単ではなく、あくまで医療なので、多くの医療規制の下で運営をしていかなければならない。『儲けられる』と安易に立ち上げても、1年、いや半年もしないうちに倒産するだろう」

――公開されている資料によると、新氧はすでに収益化に成功していますが、多くのインターネット医療プラットフォームは理想的な収益モデルを構築できていません。どのような原因があると思いますか。

「問題を分析する方法は、まず、大きな市場を小さな市場に切り分けることだ。 大きな市場として捉えていると、良い解決策を発見できないことがある」

「医療市場の規模は大きく、6兆元(約100兆円)とも言われている。医療には細かく分けると無数の診療科目があり、それぞれ特徴も異なる。それぞれの科目にしっかりリーチできなければ、医師や医療機関の助けとなるプラットフォームにはなれず、利益を上げることも難しくなる。端的に言えば、本質的な問題を解決できないサービスに、誰がお金を支払うか、ということだ」

「きちんと細分化すれば、より確実にリーチできる方法を見つけられる。そうすれば、自ずと利益を上げられるはずだ」
(翻訳・飯塚竜二)

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