開設準備中の「科創板」、レッドチップとVIEの受け入れ可否は?

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2019年1月初め、ハイテク・ベンチャー企業向けの新たな株式市場「科創板」に上場する企業の要件について、上海証券交易所と証券会社が意見を交換した。主要メディアの報道では、上海証券交易所が証券会社に対して、新世代IT、高性能のハイエンド機器製造・新材料、新エネルギー・省エネ、バイオ医薬・技術サービスの5業種を上場を推薦する産業として挙げたという。

2018年3月の国務院弁公庁「イノベーション企業の国内株式及び預託証券発行の試行事業実施に関する若干の意見」では、中国預託証券(CDR)を試行する企業を「インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ソフトウェア・IC、ハイエンド機器製造、バイオ医薬などのハイテク産業や戦略性を持った新興産業に属しており、相応の企業規模を持つイノベーション企業」とするという指針が示されていた。

上海証券交易所が推奨する5大業界と、「若干の意見」で挙げられた産業は多くが重複している。また、証券監督管理委員会の閻慶民副主席は2018年に「CDRは海外上場企業をA株市場に呼び戻すのに適している」と語っていた。

国内市場向けのA株は、黒字計上が必須で審査にも時間がかかる、そこで、資金獲得が急務であり、短期間で黒字化することが難しいインターネット企業の多くが、香港やアメリカで上場している。36Krの調査によると、2018年に香港またはアメリカで上場した中国企業138社のうち、45社がインターネット企業だった(インターネット金融機関は含まない)。

海外で上場した中国のインターネット企業はそろって、海外で登記して中国で事業を展開する「レッドチップ」や「VIE(変動持分事業体)」スキームを活用している。これは国外に設立したオフショア会社に中国国内の資産を移すことで、海外での上場や出資受入れを可能にする仕組みだ。しかし、科創板へ上場するためにはこのスキームが障害となる。

中国メディア「財新」によると、レッドチップやVIEスキームを科創板で受け入れるかどうかをめぐり、監督官庁でも意見が分かれているという。同スキームを活用した企業が国内A株市場に上場するということは、外国企業が中国で資金を調達するということになるからだ。

1月14日、ビジネスメディア「第一財経」は、科創板に上場する最初の企業グループにレッドチップ企業は含まれず、今後もレッドチップやVIEスキームを受け入れない可能性を伝えた。そうなれば、海外で上場したインターネット企業やユニコーン企業が中国市場に回帰する場合、それまでのスキームを全てゼロから見直す必要が出てくる。

一方で「中国証券報」は監督官庁高官の話として、科創板がレッドチップやVIEスキームを受け入れるかは議論が続いており、現在の状況では受入れ可能ではないか、と伝えている。
(翻訳・畠中裕子)

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