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EVトラック、世界有数のメーカーがこぞって参入
米テスラモーターズ初の電動トラック「Semi」が発売予定としていた2019年が到来した。現在では複数のメーカーがEVトラック市場に参入してきている。
オランダのトラックメーカー「DAF」は重量級トラック「CF」のEV版を発表し、すでに同国の大手スーパーマーケットチェーンJUMBOに導入されている。独フォルクスワーゲン傘下「MAN」も同様にTGMのEV版「eTGM」を開発し、ポルシェの運送業務用に納入した。独ダイムラー傘下の米「フレイトライナー」は本格生産段階前の「eM2」の試用車をペンスキー・オートモーティブのトラックリース部門に納入した。
今年はトラック大手のボルボ・トラックもこれに追随する予定だ。
2018年、ボルボ・トラックはEVトラック3車種を発表。「Vera(港湾や大型物流センター向けの自動運転車)」を除く「FL Electric」「FEシリーズ(市街地向けの貨物運搬車)」の2車種が年内に発売される予定だ。FEシリーズは年初に独ハンブルグでゴミ収集車として起用されている。一部海外メディアの報道によれば、FEシリーズをベースとして開発された「VNR」は昨年末に米カリフォルニア州で試験運転をスタートさせ、2020年には北米市場で販売されるという。
世界中でEVトラックが脚光を浴びる中、中国メーカーも黙っていない。
2018年4月、中国重型汽車集団(CNHTC)が開発した世界初となる自動運転BEVトラック「HOWO-T5G(L4クラス)」が天津港で試験運転に入った。また、新興EVメーカー「奇点汽車(SINGULATO)」は今年半ばにも初のEVトラックを発売し、2020年までに自社工場を稼働させて年間5万台の生産を目指す。
BYD(比亜迪)製のEVトラックは2017年に合計52台を受注。2018年5月にはブラジルのリサイクル企業Corpusから、海外市場としては最大規模となる200台を受注している。
日産自動車と東風汽車集団(DONGFENG MOTORS)も合弁会社を設立し、EVトラックの開発に注力。仏ルノーは華晨中国汽車(BRILLIANCE AUTO)との合弁会社で、2年以内にEVバン3車種を発売する予定だ。フォルクスワーゲンは「ハノーバーモーターショー2018」で発表したEVトラック「E-Delivery」を、2022年までにブラジルで生産するという。
トラックの自動運転化、実現はいつ?
貨物トラックがEVへ舵を切る中、自動運転の実現も急がれている。
ダイムラーが今年1月に開催された米国最大のコンシューマーエレクトロニクス関連の展示会「CES 2019」で発表した大型長距離トラック「カスケディア(L2クラス)」は、7月にも量産体制に入る。同社の自動運転トラックは「年内にも公道デビューを果たす」との報道もある。
無論、L2クラスでは自動運転を実現したとは言い難いが、それでも重要なステップだ。ダイムラーは今月8日、年間5億ユーロを投じてEVトラックの自動運転車開発を行うと発表したばかり。L4クラスを実現するために、新たに200人を雇用するという。
一方のボルボ・トラックは採掘、ゴミ収集、農作物収穫、特定の長距離輸送などの用途で自動運転技術を活用している。さらに、プラトーニング(隊列走行)技術も開発した。昨年9月に発表された無人運転EVトラック「Vera」(現段階ではコンセプトカーにとどまる)はキャビンを廃止し、コンテナとフレームだけで構成されている。
テスラのSemiに関しては、量産段階に入る以前からウォルマート、UPS、アンハイザー・ブッシュなどの小売りや物流大手から受注している。Semiは緊急自動停止、後方衝突警告システムなどを搭載するという。
EV化、自動運転化に立ちはだかる障壁
トラックの電動化、自動運転化を完全に実現できたとしても、さまざまな問題点が付随してくる。
電動化に関していえば、航続距離や最大積載量がネックになる。長距離移動することが多い貨物トラックにとって、航続距離の制約は見過ごせない問題だ。また、積載可能な貨物の重量や体積にも一定の制約があり、一般車両と比較すると最大積載量が下がる。これらを解決するにはバッテリーの性能向上が必要だが、生産コストや量産体制、販売価格などとのバランスも考慮しなければならない。
前出のSemiの販売価格は、航続距離300マイルの車種で15万ドル(約1600万円)、500マイルで18万ドル(約2000万円)だ。中国市場で販売するなら、さらに関税がかかる。
EV産業チェーンの企業約1000社が加盟する「沃特瑪新エネルギー車産業創新連盟」が製造した電動大型トラックを例にとると、バッテリーだけでも90万元(約1500万円)の生産コストがかかっている。
また、普及させるためには、充電ステーションの増設などインフラ面の改善も欠かせない。自動運転技術に関しては、L5クラスを実現するまでの道のりはまだ遠い。
ボルボ・トラック自動運転製品部門のディレクターHayder Wokil氏は、「我々の自動運転事業戦略は、顧客や社会の価値観の変化に応じて段階的に自動化のレベルを調整し、ゆっくりと進めていく。当初は閉じられた敷地での走行を想定している。公道へ移るのはその後だ」と述べている。
自動運転車が公道を走るとなると、事故時の責任などについて法的な定義も必要となる。各国でこうした法的整備はまだまだ遅れていると言わざるを得ない。
(翻訳・愛玉)
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