盛り上がる中国のバーチャルキャラクター市場、CCTVの年越し番組には初音ミクも初出演

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旧正月(2019年は2月5日)が近づき、各局の年越し番組の出演者が揃ってきた。中国の人気ボーカロイド「洛天依」が浙江衛星テレビの番組に招待されたが、競うかのようにCCTV(中国中央電視台)も「初音ミク」を登場させることを発表した。

一方、3DCGアニメ「神契幻奇谭」、3DCGアニメ映画「龍之谷:破暁奇兵(Dragon Nest: Warriors’ Dawn)」「精霊王座(Throne of Elves)」などで知られるアニメ制作会社「米粒影業(Mili Pictures)」は、最近、バーチャルライバーの「夏綾」「花儀」「小希」をデビューさせた。彼女たちが出演するライブ番組は動画配信サイト「ビリビリ(Bilibili)」で大ヒットを記録しており、中国ではバーチャルキャラクター市場への関心が高まっている。

米粒のブランドディレクター、馬欣然氏は、バーチャルキャラクターを新たな事業として成長させていく方針を明かしている。具体的には、IP(知的財産)事業の一貫としてバーチャルアイドルを育てて、ソーシャルメディアや二次元コミュニティ上への露出機会を増やし、ファン層を拡大していく。また、バーチャルアイドルグループを結成・デビューさせて、若者向けブランドと提携するという。

馬氏は「日本では昨年2月から7月にかけて、VTuberが500人から4000人超に増えた。中でもアニメキャラクターの成長が速い」とし、二次元・三次元の枠を越えたビジネスチャンスに期待を寄せている。また、同社のバーチャルライバーがビリビリ上で国内外のバーチャルライバーとコラボレーションしたことを明かし、「バーチャルライバーの遊び方は今後多様化していくだろう」と展望した。

昨年、ビリビリは洛天依を運営する「香港澤立仕(ZENITH GROUP)」に追加出資して支配株主となった。また、日本のグリーと合弁会社「bGゲームス」を立ち上げて、VTuberの開発・運営の強化に乗り出している。

バーチャルライブ技術を応用できるシーンは多様だ。アニメ、映画、テレビなどのコスト構造や制作方法などにさまざまな変化をもたらす可能性も秘めている。

馬氏はモーションキャプチャ、3Dエンジン、バーチャルライブの放送技術が成熟したことや、難易度が低下したことなどにより「アニメ制作はより身近になる」と見ており、バーチャルアイドル技術を用いて、アニメのショートビデオ、シチュエーション・コメディ、バラエティなど、多様なコンテンツを制作していく考えだ。

同社は最近、「デスクトップバーチャルライブプログラム」なる取り組みを発表した。これはアバター生成アプリのように、バーチャルイメージと関連技術を用いて、自分の代わりにバーチャルキャラクターがライブ配信を行うというものだ。

バーチャルアイドル産業は日本だけでなく世界中で成長している。データ解析会社「ユーザーローカル」によると、現在、世界には4000人以上のVTuberが存在しているが、最も人気が高いVTuberは「キズナアイ」(中国での愛称は「愛醤」)だ。彼女のYouTubeチャンネル「A.I.Channel」のチャンネル登録者数はすでに240万人を突破しており、その人気を裏付けるかのように、運営会社のActiv8(アクティベート)はインタラクティブエンターテインメント専門のVC「Makers Fund」およびゲーム企画・開発会社「gumi」から約6億円を調達している。

2017年の日本のVTuber市場規模は20億円程度。一方、同年の中国の二次元コンテンツユーザー数は3億4000万人に達する。コアユーザーの8割近くが90後(90年代生まれ)で、彼らはエンターテインメント分野の消費、ファン経済の中心勢力だ。日本の市場規模から判断するに、中国のバーチャルライバー市場もまだまだ成長していくに違いない。
(翻訳・飯塚竜二)

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