個人・中小企業向け少額融資「P2P融資」の海外上場に大きな壁、ゴールドマン・サックスなどが撤退

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銀行などの金融機関を経由せずに、貸し手と借り手を直接インターネット上でつなぐ小規模融資サービス「P2P融資」を手がける中国企業について、海外でのIPO案件が次々と暗礁に乗り上げていると報じられた。

ブルームバーグの先月24日の報道によると、中国の消費者金融企業「360ファイナンス(360金融)」のアメリカでのIPO計画から、ゴールドマン・サックスが撤退した。中国当局による業界規制の方向性が定まらず、投資家からの需要も冷え込んでいるため、ゴールドマン・サックス側は昨年11月にIPOの延期を打診していた。しかし、交渉は物別れに終わり、計画から手を引くことにしたという。

これについて、360ファイナンス側は「弊社はP2P融資企業ではない。資金は銀行などの金融機関を介しており、いわゆるP2P融資の仲介プラットフォームとは本質的に異なる」と説明している。また、ゴールドマン・サックスが撤退した理由についてはコメントを避けた。

ブルームバーグによると、シティグループも中国のP2P融資企業「嘉銀金科(JIAYIN FIN-TECH)」のIPO案件から撤退した。また、クレディ・スイスやJPモルガン・チェースも昨年11月、「泛華金融(CNFinance Holdings)」のIPO案件から手を引いた。本件は米投資銀ロス・キャピタル・パートナーズと中国の証券会社「申万宏源(SHENWAN HONGYUAN)」に引き継がれ、泛華金融は11月7日にニューヨーク市場に上場した。ただし、同社が手がけていたP2P融資サービス事業は売却済みだという。

新興上場企業専門のニュースサイト「信披頭条(shzhenghui)」によると、2018年に海外で上場した中国企業9社のうち、「愛鴻森(ihongsen.com)」を運営する「森淼融聯科技(Senmiao Technology)」、「点牛金融(dianniu98.com)」を運営する「点牛互聯網金融信息服務(Shanghai Dianniu Internet Finance Information Service)」、「小贏科技(XFinancial)」、「微貸網(www.weidai.com.cn)」を運営する「微貸金融信息服務(WEIDAI)」の4社がP2P融資事業を手がけている。2018年以前の案件を含めると、P2P関連の中国企業は、合計9社が海外で上場したことになる。

前述の愛鴻森と点牛金融、また2017年にニューヨーク市場に上場した「宜人貸(yirendai.com)」以外の6社は、現時点ですでに公募割れの状況に陥っている。

中国の関連当局のP2P融資サービスに対する規制は、2016年8月に公布された「インターネット融資の仲介機関による事業活動管理に関する暫定措置」が端緒。その後、当局による規制方針が二転三転したため、2017年ごろから多くのP2P融資プラットフォームが資金難に陥り、営業停止などに追い込まれた。2018年1月には249社、同年8月には200社が経営難に陥ったという。

さらに、2018年8月には「全国P2Pインターネット融資サービスによるリスク回避のための業界整理事業チーム(全国網貸整治弁)」による融資機関調査リストが発表され、全国のP2P融資プラットフォームを対象に実態調査が行われることになった。当初の予定では同年内に終了する予定だったが、業界筋は「今年前半には終わらないだろう」と推測する。最終的には、全国に数千社あると言われるP2P融資機関は、200~300社までに整理される見通しだ。

当局の規制方針が安定しないため、P2P融資機関による貸付利率も下がる一方だ。そこで、経営を継続するために資金調達需要が高まり、多くのP2P融資機関が「海外上場」に活路を求めている。

中国のインターネット金融専門ニュースサイト「零壱財経(01caijing.com)」によると、2019年の上場を目指してすでにIPO目論見書を提出しているP2P融資機関としては、前出の嘉銀金科、「泰然金融(TRC.com)」を運営する「小泰科技(Xiaotai International Investment)」などが確認されている。
(翻訳・愛玉)

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