計測センサー開発の「深視智能」が資金調達 製造業支える中核部品の国産化が加速

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製造業支える中核部品の国産化が加速、精密計測センサー「深視智能」が資金調達

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マシンビジョンセンサーを開発する「深視智能(SINCEVISION TECHNOLOGY)」がこのほど、シリーズB+で数億元(数十億円)を調達した。「経緯創投(Matrix Partners China)」と「高瓴創投(GL Ventures)」が共同で出資を主導した。

深視智能は2014年に設立され、主にマシンビジョンや3Dアルゴリズム、光学イメージング、ハードウエアアクセラレーション、精密計測などの中核技術に基づく産業用3D精密計測センサーを開発している。製品はパソコン、通信機器、家電製品などのデジタル機器やリチウム電池の生産過程における検査や計測に広く利用されている。

近年、中国の3Dビジョン産業が次第に形成され、国内ブランドの市場シェアも増加している。中国のコンサル会社・賽迪顧問(CCID)が2020年に出した統計によると、中国の産業用マシンビジョン市場は2022年に180億元(約3300億円)に達すると見込まれ、国内ブランドの市場規模も100億元(約1800億円)に拡大すると予測されている。

中国は世界の製造業の中心地としてこの10年で大きな発展を遂げ、製造設備の中核部品であるセンサーやチップの分野でも国産技術の開発に重きが置かれてきた。しかし深視智能の共同創業者で総経理の金少峰氏は、チップに比べて国産センサーは成長の土壌に欠けているため国産率が低く、市場全体は海外大手企業が幅を利かせていると指摘、産業用センサーの国産化が喫緊の課題であるとした。

国内メーカーが増加すればセンサー価格は下がり、設備製造業者のコストも減少する。価格が低下すれば食品や木材などコスト管理に敏感な業種でもセンサーの活用が進み、業界全体の健全な成長を後押しすることができる。「もともと15万~20万元(約270万~360万円)で販売されていたあるセンサーは、我々が参入したことで4万~5万元(約73万~91万円)まで徐々に価格が下がった」と金少峰氏は語る。

深視智能は現段階でラインレーザー、ポイントレーザー、点スペクトルという3つの製品ラインで3D計測センサーの量産を行っている。最初に手がけたラインレーザー製品は5つのシリーズで展開しており、世界トップクラスの性能を持つものもある。

ポイントレーザーと点スペクトルは2021年に発表した新しい製品ラインだ。ポイントレーザー変位センサー「SG3000」「SG5000」シリーズは再現性が最高0.02マイクロメートル、サンプリング周波数は592kHzまで可能で、半導体や液晶、電子・電気部品、自動車、金属製造などの業種で幅広く活用できる。これら既存の製品ラインを充実させながら、今年はポイントレーザーの新製品を順次発売する予定だという。

同社はデジタル機器やリチウム電池などの分野でラインレーザー製品を確実に大規模納入できる数少ない国内メーカーとなっている。取引先にはスマートフォンメーカーのOPPOやvivo、ファーウェイ、iPhone受託生産を行うフォックスコン、車載電池CATL、EVメーカーBYDなど各分野の大手が名を連ねるほか、軌道交通や靴のソール、木材などのニッチ分野の開拓も進めている。2021年の売上高は前年から倍以上に増加した。

現在、深視智能のラインレーザー製品はすでに拡大期を迎えている。ポイントレーザーと点スペクトル製品も顧客の評価を高めながら着実にシリーズ化を進めており、今年には急成長が見込めるという。このほか新たな製品ライン2つが商品化の段階に入っており、今年中の発売を予定している。

金少峰氏は、今年もハイエンド人材を招致するなど引き続きチームの拡充を図り、各分野で人材の密度を高め、今後の目標達成に向けた発展計画の基礎固めをしたいと語った。
(翻訳・畠中裕子)

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