越境EC向けSaaS「店小秘」、シリーズCで115億円調達 120万社超にサービス提供

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越境EC向けSaaS「店小秘」、シリーズCで115億円調達 120万社超にサービス提供

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越境EC企業向けにクラウドERP(統合基幹業務システム)サービスを展開する中国の「店小秘(Dianxiaomi)」はこのほど、シリーズCで、米大手ファンドのタイガー・グローバル・マネジメントなどから1億ドル(約116億円)を調達した。調達した資金は、人材獲得や商品の研究開発、サービスシステムの刷新、海外市場開拓に充てる。

今回の調達ラウンドは、タイガー・グローバルと中国の投資銀行、華興資本(チャイナ・ルネサンス)傘下の華興新経済基金が主導し、既存株主である米ベンチャーキャピタル(VC)のGGVキャピタル、中国VCの鼎暉VGC、同・高榕資本がそろって追加出資した。

店小秘は2014年、越境EC企業の業務支援を目的にERPの無料アプリサービスを開始。ITスタートアップの深圳美雲集網絡科技が開発・運営を手掛けている。業務情報を一元管理するERPサービスのうち、クラウドでソフトウエアを提供するSaaS型を導入しているのが特徴だ。ECプラットフォーム、物流システム、実店舗の端末をクラウドでつなぎ、業務の効率化や販路拡大を後押しする。

店小秘によると、今回の調達額は、越境EC向けERPサービスのSaaS分野としては過去最大規模という。同社は21年にシリーズB(1月)とB+(6月)で合計2億8500万元(約52億円)を調達している。

多様なラインアップに強み

店小秘は現在、「店小秘ERP」、「賽狐ERP」、「BigSeller」、「UpSeller」、「多客」、「17TRACK」、「小秘雲倉」などの各種サービスを抱える。ERP、倉庫管理、顧客対応、物流管理といった越境EC産業チェーンに必要な機能を備えており、これらを使うことで業務全般を網羅できる。顧客は需要と所在地に応じて利用する機能を選択できる。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オフライン消費が抑制される一方、オンライン消費にはグローバルなビジネスチャンスがもたらされた。越境EC普及率は急上昇しており、売り手からすれば、チャンスとも挑戦とも言える状況にある。同時に、産業政策と国内サプライチェーンという二重の優位性を背景とした海外消費の高度化(レベルアップ)により、越境EC産業の市場規模はさらに拡大する見通しだ。

実際、店小秘は追い風に乗り、事業拡大を加速させている。21年第4四半期(10~12月)には、サービスのラインアップを二つ増やし、同10月にグローバルなスマート顧客サービスを手掛ける多客を、同11月に南米の地元EC企業向けにERPサービスを提供するUpSellerを稼働した。前者は顧客サービス強化により店小秘のラインアップを拡充する垂直展開、後者は既存のERPサービスを南米へ広げる水平展開に当たる。

(EC企業の業務全般を網羅できるラインアップ)

先行者利益生かし飛躍

他社と比べると、店小秘のSaaS型ERP参入は若干早く、先行者の利益を獲得できる下地があった。運営会社の深圳美雲集設立と同時に14年に打ち出された中核サービスの店小秘ERPは、16年に急成長期を迎えたが、量から質を重視する路線に舵(かじ)を切ったことが実を結び、大幅な利益増につながった。

明確に差別化されたサービスを複数持つことも店小秘の強みだ。賽狐ERPは米アマゾン・ドット・コムのプラットフォームに特化した管理システムを、BigSellerは東南アジア市場の売り手向けにサービスを展開している。

現在までに内外の顧客企業120万社超、大手EC大手サイト50余り、物流企業800社超、海外倉庫サービス60社超と提携関係にある。処理した年間総取引額は3000億元(約5兆5600億円)を超えている。過去数年、業務は前年比で2倍以上の伸びが続いている。

研究開発・人材確保を推進

店小秘の杜建銀・創業者兼最高経営責任者(CEO)は、今後、越境EC企業にとって核心的競争力は何になりそうかとの質問に対し、「顧客の需要が依然として最大の鍵を握る要素だ」と強調。その上で、「次にサービス、最後に費用対効果だ」と述べた。質の高い商品やサービスを提供し、長期的な視野に立つ企業こそ、顧客からの支持を得られるとの認識を示した。

同社は今後、生産と研究開発、技術革新への投資を拡大する方針。優秀な人材の獲得を積極化し、最高レベルの技術を維持したい考え。越境EC業界の需要掘り起こしや、新興市場の開拓も模索していく。

現在の人員数は500人余り。本社がある深圳以外に、広東省広州市や福建省アモイ市、浙江省杭州市、河南省鄭州市など中国国内十数カ所に支社を置く。英国やインドネシア、マレーシアなど海外にも研究チームを配置する。

(36Kr Japan編集部)

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