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中国の車載LiDAR(レーザーレーダー)メーカー「睿鏃科技(Rayz Technology)」(以下、RAY)がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。出資者は中国地図サービス大手の「四維図新(NavInfo)」。同社はすでに次の資金調達を進めているという。
RAYの設立は2019年。車載LiDARメーカーとしては、トップ企業の「禾賽科技(Hesai Technology)」や「速騰聚創(RoboSense)」などに数年遅れての市場参入となった。これらの企業が多くの自動車メーカーを顧客に抱えて車載LiDARの量産を進める中、RAYに入り込む余地はあるのだろうか。
陳如新CEOは「当社は技術を成熟させてから本格的なビジネス展開を目指す方針を取ってきたため、これまで大きく注目されなかった」とした上で、「現在市場に出回る車載LiDARの大部分は、サイズや距離測定、解像度、消費電力、コスト、安定性などに不十分な点がある。広い範囲に普及させるのは、まだ難しい」との考えを示した。
RAYは現在、車載LiDAR3機種を発表している。一部の機種はすでに量産され、自動車メーカーや自動運転企業などに販売されている。重さはいずれも1キロ以下で、最小の機種はこぶしほどの大きさ、最大検知距離は800メートルに達する。放出されるレーザービームは1024本に上り、光電素子をマトリクス状に配置する特許技術を活用して高解像度の点群データを生成する。
RAYは車載LiDAR以外にも、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・メタバース向けのデバイスやロボットなどに利用できる超小型LiDARの開発と試作を完了している。同製品は、1フレーム当たりのレーザービームが40〜400本、検知距離は20〜200メートル、最大0.1度の垂直・水平解像度を実現。2023年の量産開始が計画されている。
陳CEOによると、RAYは現在、レーザーの送受信を一体化した「プラットフォーム型チップ」を開発中で、完成後は車載LiDARと超小型LiDARに搭載する計画となっている。同チップを搭載したLiDARは、100ドル(約1万2000円)以下で販売できるようになる見込みだという。
LiDARの検知距離と解像度は本来は反比例するものだが、RAYの製品は人工知能(AI)アルゴリズムを利用し、場所ごとにデータ取得の濃淡をコントロールすることで解決している。また、同社は代表的な製品のレーザー出力を平均20ワット以下に抑え、人の目に対する安全性も確保している。
陳CEOは「当社は車載LiDARの量産を開始したばかりだが、低価格・高性能な上にサイズも小さい当社のLiDARを、自動車メーカーが選ばない理由はない」と自信をのぞかせた。
(翻訳・田村広子)
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