新しい株式市場「科創板」、スタート段階は20〜30社が上場か

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1月30日、中国証券監督管理委員会(CSRC)と上海証券取引所が新市場「科創板」の実施細則を発表した。

これに先立ち1月24日には、「科創板に最初に上場する56社」のリストがインターネットで拡散した。このリストには、人工知能(AI)、集積回路(IC)、新エネルギー車(NEV)、医薬品、航空宇宙、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、環境保護という8分野の企業が掲載されている。

このうち、AI分野ではほとんどの国内ユニコーン企業がリストアップされているが、他分野は玉石混淆だ。例えば、香港でのIPOを断念したマイニング機メーカー「嘉楠耘智(Canaan Creative)」や、最近債務危機に陥ったNEVメーカー「珠海銀隆新能源(Yinlong New Energy)」なども含まれている。

また、リストには米国で上場している「蔚来汽車(NIO)」を含むNEVメーカー8社が掲載されているが、 「証券日報」の取材に対して、これらの企業はいずれも情報を否定したため、リスト全体の信頼性が大きく低下しすることになった。そして憶測は止まず、1月31日には、56社から72社に増やされた新たなリストもネット上で拡散した。

「招商証券(China Merchants Securities)」の最近のレポートでは、「上場基準は市場価値を中心として、売上高、営業キャッシュフロー等が指標になる」としている。科創板の上場条件は利益以外の指標に重点が置かれるというのだ。

加えてこのレポートは、企業の規模に応じて3つの市場に分けられているナスダックにならって、科創板も複数の市場を設けるだろうとしている。スタートアップ企業は、評価額に基づいて市場を選択してIPOを行い、後に条件を満たした時点でより高いレベルの市場に移行できる。

1月30日に発表された科創板の実施細則では、企業の市場価値に応じて5つのレベルが設定されている。上場のための最低評価額は10億元(約160億円)だ。評価額が15億元(約240億円)以上であれば、上場申請の時点で黒字である必要はない。ただし、売上高、キャッシュフロー、収益予想の達成度などの基準は厳格になっている。

CSRCが発表した実施意見書では、ハイテクベンチャー企業に多く見られる「VIE(変動持分事業体)」やすでに海外で上場しているレッドチップ企業の上場も認めている。レッドチップ企業は、中国預託証券(CDR)を発行することにより科創板に上場できる。

招商証券のレポートでは、最初に上場するのは25〜30社で、年間の資金調達規模は約500億元(約8000億円)に上ると予測されている。 一方、「中信証券(CITIC Securities)」の予測では、2019年に約100社が上場し、資金調達規模は500~1000億元(約8000億~1兆6000億円)とされている。

1月31日に「国盛証券(Guosheng Securities)」は、発表された上場基準と企業の評価額、資金調達ラウンドを勘案して、科創板に最初に上場する可能性が高い12社を発表した。このリストでは、拡張現実(AR)とクラウドコンピューティング関連のベンチャー企業が有望とされている。

2018年11月に科創板の創設が発表された後、A株の資金が流出するのではないかとの懸念を引き起こした。A株など他市場への大きな影響を回避するために、科創板の制度は段階的に確立されていくとみられる。
(翻訳・神江乃緒)

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