ロボットビジョンのSRTAIが資金調達、トヨタやベンツの中国工場も導入

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ロボットビジョンのSRTAIが資金調達、トヨタやベンツの中国工場も導入

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ロボットビジョンシステムおよびソリューションを開発する「広州市斯睿特智能科技(Smart Robovision Technology)」(以下、SRTAI)は、このほど「広東文化産業投資管理」から1000万元(約1億9000万円)を調達した。SRTAIの賈春英総経理によると、今回の資金は製品開発やマーケティングなどに充てられる。

2017年に設立されたSRTAIは、産業用AIスマートソリューションの研究開発や実用化に特化したハイテク企業であり、産業用ロボットビジョンシステム、ロボットビジョン精密組立機およびIoTスマートデバイスの研究開発を中心に行っている。

賈総経理によると、産業分野に視覚機能を導入することで生産設備のデジタル化が進むとしており、中国のスマート製造業の進展に伴い、ロボットビジョンの市場規模と役割が拡大しているという。

調査会社MarketsandMarketsの予測によると、世界のロボットビジョン市場は2025年までに130億ドル(約1兆5700億円)を超え、2026年には140億ドル(約1兆7000億円)に迫る見通しだ。中国は世界で最も発展が著しい地域の一つで、その市場規模は2026年までに300億元(約5700億円)を超えると予想される。市場調査を手掛ける高工産業研究院(GGII)の試算によると、ロボットビジョン産業は今後3年間の年平均成長率が約24%に達すると見込まれる成長市場となっている。

その一方で、ハイエンドのロボットビジョン市場は主に米国、ドイツ、日本の企業に独占されているのが現状だ。米コグネックス、独Basler、日本のキーエンス、オムロンなどは、蓄積された技術を持ち顧客から高く評価される国際的な大企業だ。特にコグネックスとキーエンスは、ロボットビジョン業界におけるツートップであり、世界市場で半分近くのシェアを占める。

そのため、国産のハイエンドロボットビジョン製品を開発し、国内の自動車産業やエレクトロニクス産業で段階的に海外製品からの代替を進める重要性が高まっている。

SRTAIは現在、2D/3Dコーティング検査ビジョンシステム、AI搭載の3Dレーザーロボットガイドビジョンシステムなどを開発しており、主に光源、センサヘッド、産業制御機器などのハードウェアと、対応するアルゴリズムを搭載したソフトウェアプラットフォームで構成される。

SRTAIの製品は現在、広汽本田汽車、広汽トヨタ自動車などの日系自動車工場、フォルクスワーゲンなどの欧州系のほか、奇瑞汽車、BYDなど中国の自動車工場で使用されている。エレクトロニクス業界では韓国のサムスン電子、LGなどの企業で使用されている。

現代の高度な製造業において、ロボットビジョンは作業時に工具をガイドするだけでなく、視覚データを使用して動作対象の指示に対する結果を自己分析した上で生産ラインで自動調整し、生産効率を継続的に高めることが必要だ。

SRTAIの2D/3Dコーティング検査ビジョンシステムを例に挙げると、塗装作業を妨げることなくライン上で高さや幅、ワレ、ダレ、塗装ハジキ等の凹凸不良を検査し、不良品を検知した場合にはコーティングシステムを作動させ修正することで品質を保証している。

SRTAIの製品

3Dロボットガイドビジョンシステムは、視覚アルゴリズムを活用することでロボット自身が位置決めや精密作業を行えるようにしており、自動車ドアの組付け、タイヤ装着、電子部品組み立てなどの工程でより柔軟かつスマートな生産ができる。

自動車産業に加え、3Cデジタル機器(パソコン、通信機器、家電製品)分野でもロボットビジョンの需要が拡大している。ある報道によると、アップルでは組立工場のほかモジュール工場でもロボットビジョンの需要が高まっており、同社の産業におけるロボットビジョンの浸透率は上昇を続けているという。

SRTAIのロボットビジョン搭載全自動組立機は3C産業に適しており、パラレルリンクロボットのように高精度カメラの誘導の下で細かい動きにも対応できるほか、反復位置決め精度や最小相対移動距離などの重要指標を細かな範囲で制御できるため、実際の組み立て精度は非常に高い。

SRTAIの3C向け全自動組立機はデジタル機器最大手であるサムスングループの生産ラインに導入されているほか、国内大手企業とも生産ラインのアップグレードに関する交渉を進めており、今後一定期間にわたって同分野へ注力すると見込まれる。

現在、同社は天津、武漢、合肥などに支店や事務所を持つほか、北京、上海、長春、瀋陽などに代理店ネットワークを構築し、自社直売と代理店経由で製品を販売するとともに、国内で重要な自動車、3C産業エリアにも照準を合わせている。

同社はすでにトヨタ、メルセデス・ベンツ、サムスンなど大企業を顧客に抱え、製品の信頼性および安定性が裏付けられており、市場で一定の優位性を築いている。産業シーンにおけるロボットビジョンの普及率は依然低いため、SRTAIが更に高品質な製品を提供することができれば、国産化による代替も可能となる。(翻訳・大沢みゆき)

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