世界が注目する自動運航船、「雲州智能」が開発を強化

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ドローン、自動車に続いて、「自動運航船」の研究が世界中で加速している。

自動運航船は遠隔操作が不要で、GPSと船に設定された任務に従って航行する。海上演習や海上輸送、測量などで運用できると見込まれている。

世界では、すでに多くの国で自動運航船が開発されている。2018年、ノルウェーの船舶輸送大手ウィルヘルムセングループ(Wilhelmsen)とコングスバーグ社(Kongsberg)は合同で自動運航船会社 「Massterly」を設立した。コングスバーグ社は6.6億ドル(約724億円)でロールスロイス社傘下の自動運航船舶に関する研究開発部門も買収した。その他にもサムスン重工業はAWS(Amazon Web Services)と提携して船舶の自律運航プラットフォームを構築している。

業界は、世界の自動運航船の市場規模は2019年には100億ドル(1兆円超)に達する可能性があると予測している。これからの数十年で世界の遠洋輸送業界は大きく変わるだろう。

こうした中で注目されている中国ベンチャー企業が「雲州智能(YUNZHOU)」だ。

2010年に設立された雲州智能は、環境保護用の無人測量船から始まり、2014年には軍需分野に参入。海洋調査の無人艇、電子対策無人艇、ステルス無人艇、共同作戦無人艇、ミサイル無人艇などを相次いで開発した。

同社の創業者兼CEOである張雲飛氏によると、自動運航船の主要技術について、100以上の特許を有しているという。

同社の自動運航船舶事業は「環境測量」、「海洋調査」、「保安救援」、「軍事利用」、「自動運航」の5分野からなる。自動運航の分野では「筋斗雲」という小型無人貨物船プロジェクトを進めており、近い将来に運用開始する予定だ。海洋調査の分野では、2017年に同社は「M80B」無人艇を南極に派遣した。また、軍事と保安救援の分野ではL30シリーズの無人艇を擁する。

自動運航船は自動運転技術と同じく、業界はまだ初期段階にあって標準規格の整備が待たれるが、同社は中国当局と連携して無人運航船舶に関する国内7規定の作成にも関与している。

さらに、同社は珠海にある万山群島に自動運航船の海上試験場を建設した。ノルウェーに続き世界で二番目、アジアでは初である。

ビジネスモデルと市場に目を移すと、雲州智能は環境保護機関、水利部、海事局、公安局、海洋局など関係当局と研究教育機関に対して、自動運航船とソリューションをセットにして提供している。同社の「環境保護」、「軍事利用」、「海洋」の主要3事業が売上高に占める割合はそれぞれ1:1:1となっている。

張氏によると、現在は自動運航船の売り上げは民間部門に集中しているが、軍事関係のプロジェクトで数年内に爆発的な需要が見込まれるという。

調査会社は、自動運航船舶のグローバルな市場規模は2016年には100億元(約1600億円)と予測しているが、今後3年から5年後には市場は10倍以上に成長するという。一方、自動運航船産業は「開発期間が長く、必要とされる技術のレベルも高く、投入資金も多い」ので、創立して間もない企業にとっては参入ハードルが高い。

報道によれば、雲州智能は2014年に「広東粤科(Guangdong TECHNOLOGY GROUP)」や「芳晟基金(FangFund)」「などからシリーズAで1800万元(約3億円)の出資を受けた。2016年にはシリーズBで「紀源源星(Vstar Captial)」、「真格基金(ZhenFund)」、「芳晟基金」、「真成投資(zhencheng Capital)」などの有名な投資機関から合計1.5億元(約24億円)の資金を調達。2018年にはシリーズCで4億元(約65億円)の資金調達を完了した。
(翻訳者:山口幸子)

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