ショート動画のトレンドは「ソーシャル化」と「長編動画との融合」

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2018年、ショート動画アプリの月間アクティブユーザーは6億人を超えた。

モバイルネットワークの調査会社「QuestMobile」によると、2018年12月、ショート動画はユーザーのネット利用時間の11.4%を占め、動画共有サービスの8.3%を抜いてインスタントメッセージに次ぐ第2のカテゴリーとなったという。アプリのトップ3は「TikTok(抖音)」(月間アクティブユーザー4億2600万人)、「快手(Kwai)」(同2億8400万人)、「西瓜視頻(Xigua Video)」(同1億1200万人)だった。

ショート動画は社会のあらゆる場面に浸透しつつあり、各社は今年この分野により多く投資するとみられる。また、これらのアプリはますます差別化され、各社の方向性は分かれていくと考えられる。

ショート動画はソーシャル機能充実へ

ショート動画サービスのソーシャル機能としては、昨年に続き今年も快手の「視頻紅包(動画お年玉)」が注目された。

このサービスでは、AIが動画に映った人数を識別して、人数に応じて紅包(お年玉)の数と金額を割り当てる。一緒に動画を撮影した家族や友人たちは全員紅包を受け取ることができ、その後ユーザー自身も被写体の人数に応じた額の紅包を受け取ることができる。

テンセント系のミニ動画アプリ「微視(WeShow)」も同様のサービスを開始した。ユーザーは動画をWeChatやQQの友達に送ることができ、紅包はWeChatやQQのウォレットに直接入金される。

一方、TikTok総裁の張楠氏は1月17日、「バイトダンス(字節跳動)は引き続き動画SNSに力を入れていく」と明言した。ショート動画のソーシャル化という需要に合わせて、TikTokはストーリー機能を追加、さらに動画ソーシャルアプリ「多閃(Duoshan)」をリリースして、より交流が生まれやすいコンテンツの制作や、インタラクティブな表現方法へアップグレードしようとしているとのこと。

知識コンテンツと長短編動画の融合が焦点に

1月23日、テンセント(騰訊)とバイドゥ(百度)はコンテンツ制作者向けのイベントを行った。その中で、両社の担当者はいずれも知識系コンテンツと長編動画コンテンツの可能性について語った。双方とも現在のショート動画コンテンツは娯楽に偏り過ぎだと考えており、コンテンツの向上が必要だという。

バイドゥ傘下の「好看視頻(Haokan Video)」総経理の曹暁冬氏は「将来的には人を向上させるような知識系のコンテンツを重視してサポートしていきたい」と述べた。好看視頻は2019年に1億元(約16億円)のキャプティブ・ファンドを設立して、知識型コンテンツの制作を促し、高品質動画の配信量300%増を目指すという。

一方、テンセントのコンテンツプラットフォーム兼ショート動画プラットフォーム部門副総経理の陳鵬氏は「2019年には知識への需要が高まり、データフィードから検索に利用形態が移るだろう」とした。視聴完了率は、知識系コンテンツでは62%に達しており、エンターテイメント系の48%を大きく上回るとのことだ。

さらに両社とも、ショート動画プラットフォームは、コンテンツの革新や長編動画コンテンツとの融合に力を入れていくという。

陳鵬氏は、2019年にはスマートフォンに特化した縦型画面のショートドラマやインタラクティブなショート動画など、より多くの革新が起こると予測する。「我々は100本の縦型ショートドラマを制作したが、ユーザーの視聴完了率や共有率はいずれも長編動画をはるかに超えた」と語る。

曹暁冬氏によれば、好看視頻はすでに動画サイト「愛奇芸(iQIYI)」、「優酷(Youku)」、「楽視(LeTV)」、映画サイト「1905電影網(1905.com)」などとの提携に合意したとのことだ。今年の4月には、これらの作品を長短2つのタイプでリリースするという。

「実は、ショート動画と長編動画は融合できる。ユーザーの時間はますます細切れになり限りもあるので、多くの優れた長編動画を短く編集して見てもらい、そこから長編へ誘導する」と曹氏は言う。「好看視頻でこの機能をリリースしたところ、好感触を得ている。愛奇芸の長編動画をダイジェストにしてユーザーにレコメンドし、長編へと誘導する。この手法は、愛奇芸には1日当たり何百万もの再生回数をもたらしている」とのことだ。

これからの1年間、ショート動画はより多くの分野に浸透することが予想される。SNSやコンテンツの大型プラットフォームのみならず、ニッチな分野でもショート動画に関するサービスが多数登場しそうだ。
(翻訳・神江乃緒)

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