海外での中国製品修理はお任せ!「Wisetech」の越境アフターサービス

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東南アジアやインドなどと比べて、ロシアは中国企業の進出先として特に人気があるわけではない。しかしアリババの海外向けECサイト「阿里速売通(AliExpress)」では、世界220以上の国や地域のうちロシアの売上高がトップを占めている。モルガン・スタンレーの報告によると、ロシアのEC市場は2017年に180億ドル(約2兆円)規模であり、2023年には520億ドル(約5兆7000億円)に達する見込みだという。

海外進出したEC企業のビジネスにアフターサービスが欠けていることに気づいたのが「Wisetech」。そこで同社は、2014年、ロシアやウクライナ、ベラルーシなど向けにローカライズした3C製品(電子電気製品)修理・アフターサービスを中国ブランドや越境ECプラットフォームに提供することにした。

同社は2015年にロシアとウクライナでサービスを開始してから、アリババや「環球易購(Globalegrow E-Commerce)」、「京東(JD.com)」海外サイトを始めとする多くの越境ECプラットフォームと提携しており、ファーウェイやシャオミなど350以上のブランドに対応。これまでに海外で受注した修理やメンテナンスは100万件を超える。

Wisetech創業者の張強氏によれば、同社はロシアで初めて越境アフターサービスを提供した会社であり、AliExpressで最初の海外電子製品アフターサービス会社でもあるという。以前はロシアの消費者が自己負担で商品を中国に送って返金してもらうか、業者と交渉して、返送不要で商品代の一部を返金してもらうか、交換部品を中国から発送してもらって自分で修理するしかなかった。

このような方法では、消費者は費用も時間もかかるし、EC業者も商品や代金をだまし取られるというリスクを抱えることになる。なぜ現地の修理業者は中国製品を修理できないのか。

海外では、修理業者が有名ブランド提携しており、修理の技術や部品はメーカーから直接提供される。ところが、中国の電子製品の場合、ロシアの修理業者は部品を調達する能力も、そのブランド特有の修理技能も持ち合わせていないのだ。

現在、Wisetechはロシアとウクライナにサービスチームを有している。そして、サードパーティーの修理拠点80か所以上と連携して、ロシア、ウクライナ、ベラルーシをカバーするアフターサービス・ネットワークを作り上げ、郵送修理や部品管理、配送、修理状況追跡サービスなどを提供している。

同社は、6000億ユーロ(約74兆7000億円)規模の欧州EC市場への進出も計画している。すでに欧州最大の保険会社「アリアンツ(Allianz)」と提携し、AliExpressの欧州での修理業務を同社がサポートすることになっている。

サービス開始から4年あまり、Wisetechは全プロセスにわたるサービスを提供できるように、オンライン注文や越境サプライチェーン、越境サービス運営管理システムを構築。プロセス全体を「見える」化し、フォローしやすくした。

このシステムにより、効率向上やコスト削減、さらに大量の製品データや故障データ、評価データを蓄積できる。ECプラットフォームは、このデータを活用して商品セレクトのスキルを高めたり、故障しやすい製品や偽物を見極められる。メーカーも製品の欠陥を分析して、海外向けの製品の開発に役立てられる。

現在、Wisetechの国内外スタッフは約60名。創業者で董事長の張強氏は、2007年にファーウェイに入社、同社のロシア地区ソリューション部の責任者を務め、チャネル開拓に従事した経歴を持つ。副総経理の聶維涛氏は、フォックスコンで品質管理課長を務め、品質管理に関する豊富な経験と知識を持つ。同社は2017年にシリーズPre-Aで「前海鵬徳基金(Qianhaipengde)」から1000万元(約1億6000万円)近くを調達している。
(翻訳・畠中裕子)

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