動画アプリが火花を散らした旧正月の陣、勝敗はいかに?

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旧正月の連休中、大手インターネット企業による戦いが繰り広げられた。中でも激しさを極めたのがソーシャルアプリやショート動画アプリだ。「快手(Kwai)」が総額6億元(約98億円)の紅包(お年玉)キャンペーンを展開、「騰訊微視(Tencent Weishi)」、「TikTok(抖音)」、「火山小視頻(Huoshan)」はそれぞれ5億元(約81億円)を投入、リリース直後の「多閃(Duoshan)」も1億元(約16億円)を投じた。

紅包キャンペーンはマーケティング合戦の序章に過ぎない。キャンペーンの実績だけでなく、デイリーアクティブユーザー(DAU)の推移に注目する必要がある。サードパーティーのデータを元に、旧正月の短期決戦を総括する。

多閃 vs. 微視:動画付き紅包合戦

多閃はリリース以来、動画付き紅包の機能を積極的に打ち出してきた。旧正月中には、新年のあいさつ動画などを投稿したユーザーに総額1億元が当たるキャンペーンを展開した。

市場調査会社「QuestMobile」のデータでは、多閃のDAUは2月4日大みそかにピークの1096万人に達した。「七麦数据(Qimai Data)」によれば、同日のダウンロード数も30万件を記録したという。

大企業テンセントをバックに持つ微視は5億元もの大金を投入。動画を視聴したユーザーを対象にした紅包キャンペーン以外に、多閃によく似た個人間で動画付き紅包を送信できるサービスを展開した。見たところ有利なのは微視だ。微視では動画作成後、直接微信(WeChat)やQQでシェアできる上に、動画付き紅包を受け取った側も、チャット画面を離れることなくやり取りできる。一方、多閃の紅包は多閃ウォレットか登録済みの銀行口座からの送信に限定されている。

微視のDAUのピークは2月6日の1275万人で、旧正月前の約500万人から700万人も増加し、その後も700万人前後に落ち着いている。

リリース直後ながら健闘している多閃だが、2月9日からDAUが減少し始め、旧正月前の水準に戻ってしまった。ピーク時に比べて500万人も減少したことになる。微視も同様に旧正月のピーク時から減少しているものの、その下降曲線は緩やかだ。多閃にとって、良質のコンテンツでユーザーを取り込むことは重要な課題だ。

快手 vs. TikTok:春晩や高速鉄道と連携

中国の大みそか特番「春節聯歓晩会(春晩)」を巡っても争奪戦が繰り広げられた。中でも激しい攻勢にでたのがTikTokと快手だ。両社のDAU曲線はほぼ同じレベルで推移している。

旧正月前、TikTokがソーシャルメディアとして春晩を独占配信すると報道されたのに続き、快手は春晩のショート動画コンテンツの著作権を獲得したと発表した。

争奪戦は各地の衛星テレビ局の春晩にも飛び火した。TikTokは湖南衛星テレビや遼寧衛星テレビと提携。TikTokを運営するバイトダンス系列の火山小視頻も、春晩の衛星放送で視聴率トップを誇る北京衛星テレビの協力を勝ち取った。

高コストで短時間の春晩に対し、快手が打ち出したのは「高速鉄道チャーター」作戦だ。280車両の車体に広告を載せ、旧正月前後の帰省・Uターンラッシュ期間中に、キャッチコピーとダウンロード用のQRコードが大勢の人々の目に入るようにした。

七麦数据のApp Storeダウンロード数ランキングを参照すると、旧正月の期間中、ショート動画アプリの順位は大きな差がなく、混戦を極めたことが分かる。連休が終わりにさしかかる2月8日ごろから、スマートフォンの利用時間が次第に減少し、ランキングに差が出てきた。

主なショート動画アプリの直近1か月のランキング順位 出典:七麦数据

バイドゥ(百度)傘下の「好看視頻(Haokan Video)」は2月7日に総合第2位にまで順位を上げた後、下降の一途をたどり、現在110位ほどまで後退。ただし、旧正月前よりは高い順位を保っている。火山小視頻や微視も同じような状況だ。最も好調なTikTokは第3位以内をキープしており、快手は第13位まで順位を上げた後、第30位あたりを上下している。

旧正月期間のマーケティング合戦は、ダウンロード数の増加にある程度貢献したものの、めざましい効果を上げたとは言いがたい。

短期決戦を終えて

ユーザー数がすでに頭打ちになっている微博(Weibo)や微信は、安定路線で目立ったマーケティングは行っていないため、DAUは横ばいで推移している。

今年の旧正月はショート動画とソーシャルアプリの大決戦となった。しかし、安定しているTikTokと快手を除き、微視や火山小視頻、百度好看視頻は、2月7日以降、1日のダウンロード数が大幅に減少している。ユーザーの定着率を上げ、利用時間を延ばすには、やはりコンテンツ制作とユーザー体験の向上という原点に立ち返る必要があるだろう。
(翻訳・畠中裕子)

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