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中国で注目集まるGPU(画像処理装置)を開発するスタートアップの「摩爾線程(Moore Threads)」が3月30日、新製品発表会を開催した。システムアーキテクチャ「MUSA」や同アーキテクチャをベースした第1世代GPU「蘇堤」、さらに蘇堤を搭載した最初のグラフィックボード「MTT S60」とデータセンター向けモデル「MTT S2000」を発表した。特にMTT S60はWindows、Linuxおよび中国の全てのOSをサポートする初めてのグラフィックボードだ。
システムアーキテクチャMUSAは、同社が昨年11月に開発に成功したフル機能GPUがベースになっており、クラウドコンピューティングに必要な演算能力を全て備えている。主要OSをサポートしており、物理演算やAIコンピューティング、ゲーム、超高精細マルチメディア、Web3.0コンテンツ制作、ロボット・自動運転などの分野に幅広く活用できる。
このMUSAアーキテクチャに基づいて開発されたのがGPU蘇堤だ。搭載しているレンダリングエンジンはDirectX、Vulkan、OpenGL、OpenGL ESなどのグラフィックスAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)をサポートしているほか、次世代ビデオコーデックAV1に対応し、4Kおよび8K映像の処理も可能。また摩爾線程が独自に開発した物理エンジン「Alpha-Core」は物理シミュレーション性能が5~10倍に向上し、UnityやHoudini、Unreal Engineなどのゲームエンジンやソフトウエアに対応している。
このGPUを搭載した同社初となるデスクトップ向けグラフィックボードMTT S60と、データセンターやクラウドコンピューティング向けのMTT S2000も発表された。
MTT S60は12nmプロセスを採用し、トランジスタ100億個、MUSAコア2048個を搭載している。クロック周波数1.5GHz、単精度浮動小数点の演算性能は6TFLOPSを実現しており、メモリバス幅256bit、搭載メモリは8G、PCIe 4.0×16接続となっている。さらに8Kおよび4Kの超高精細出力もサポートしている。
MTT S2000はクラウドネイティブの(クラウド運用を前提として構築された)ソリューションで、MUSAコア数4096個、単精度浮動小数点演算性能が12TFLOPS、大容量の32Gメモリを搭載している。PyTorch、TensorFlow、PaddlePaddle、OneFlowなど主要なAIフレームワークをサポートするほか、x86やArmといったCPUアーキテクチャとの互換性もある。
クラウドネイティブという点では、MTT S2000はGPU仮想化に対応しており、開発者がデータの分離とセキュリティを確保しつつ、さまざまなGPUリソースの柔軟な配分と活用を実現できる。またコンテナ化したアプリケーションを管理するオープンソース・プラットフォーム「Kubernetes」に対応しており、クラウドを利用したさまざまな場面で分散レンダリングや演算を行うことができる。
ハード機器だけでなくソリューションも発表された。ネットワーク上のコンピューティングリソースを結合して大規模な仮想コンピューティングシステムを構築する「メタコンピューティング」に焦点を当て、エネルギー、農業、都市、生命科学の分野でデジタル化を後押しする4つのメタコンピューティング・ソリューションを打ち出した。さらにデジタルヒューマン・ソリューション「Digitalme」は3Dモデリングや音声復元、リアルタイムレンダリング、スマートセンシング、インタラクティブなどの機能を備えており、リアルタイムの対話が可能なデジタルヒューマンを作成できる。
(翻訳・畠中裕子)
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