プール用清掃ロボット「Aiper」、20億円以上を調達 蓄電システムを強みに欧米市場でニーズ高まる

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プール用清掃ロボット「Aiper」、20億円以上を調達 蓄電システムを強みに欧米市場でニーズ高まる

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「Aiper(アイパー)」ブランドでプール用ロボット掃除機やポータブル電源などを展開する「深圳市元鼎智能創新(Yuanding)」がシリーズAで1億元(約20億円)以上を調達した。ベンチャーキャピタルの「XVC」が投資を主導し、EV(電気自動車)向けリチウムイオン電池を生産する「欣旺達(SUNWODA)」がコ・インベスターとして参加した。調達資金は製品の研究開発やブランド構築、人材採用等に充てられる。

Aiperは新興の消費者用電子機器ブランドであり、経営チームはグローバルブランドとアウトドア製品分野で長年の経験を持つ。同社は2017年からポータブル電源シリーズを発売。2019年にはコードレスのプール用ロボット掃除機を発売し、これら2つの製品シリーズを中心に事業の軸足をアウトドアシーンに据えた事業を展開している。

創業者の汪洋CEOは同分野について、欧米では庭やアウトドアが生活の重要な一部であり市場規模は大きいが、これまでの大部分の製品は単なる道具であり消費者のニーズの変化に沿っておらず、スタートアップにとって今後多大な製品開拓の余地があると語る。

ある調査によると、世界には2億5000万の私有庭園があり、うち欧米が全体の80%以上を占める。製品や技術の観点から見ると、庭用園芸工具や清掃製品は過去10年ほどでバッテリー駆動式が徐々に増加したものの、以前はオイルやAC電源が一般的だった。製品のバージョンアップは低頻度で、大型で重く、環境への負荷も高かった。近年では技術の進歩に伴い園芸用品のスマート化が新たなトレンドとなりつつあり、新型コロナの流行も関連商品の普及に追い風となっている。

Aiperが注力するプール用ロボット掃除機を例にとると、従来プール清掃は主に人間か手動の清掃工具が担っていた。欧米ではプール清掃の単価が一般的に100ドル(約1万3000円)以上と人件費が高い上に、清掃頻度は月に2回程度が望ましいとされる。

人件費の上昇とコロナ禍などの理由から近年欧米市場でプール用ロボット掃除機の人気が高まり、2021年の米国のオンライン経由の出荷台数は前年比130%超増加の50数万台に達した。発売が数年先行した中国以外のメーカーが市場シェアの大部分を占めるものの、ドルフィン、ポラリスといった既存ブランドは概してコードつきのものが多く、製品のバージョンアップも相対的に遅い。

新興分野では技術力が市場を切り開く鍵となるが、プール用ロボット掃除機は周辺環境認識、水中通信、水中電源およびエネルギー消費効率など技術的なハードルが高い。水中で稼動するため、信号の送受信、マシンビジョン、ナビゲーション、防水、漏電防止などにも高い技術が求めらるうえ、当初からコードレス製品の開発を目指したAiperにはさらに高度な技術が必要だった。

Aiperのプールクリーナーは、アルゴリズムとアプリ操作によって自動で経路を設計し、主な清掃エリアを設定し清掃を実行する。3軸モーター技術を採用し、ローラーブラシとフィルターシステムを介してプールの底部と側壁を洗浄するほか、水中と排水口の目立った不純物を吸着するなど、よりきれいに掃除ができる上に省エネ性能も高めている。

同プールクリーナーは過去3年間で200%以上の成長率を維持しており、今年3月には米国のクラウドファンディングプラットフォームKickstarter上で最新のコードレスクリーナーを発表した。次の段階としてはさらに製品技術を進化させ、水中での自動経路策定、水中電源システム、水中通信などの機能の向上を図り、幅広い価格帯で新製品を展開し、製品ラインアップを拡充する考えだ。

同社にとっては、プールクリーナーだけでなく庭やアウトドア全体がサービス提供範囲でもある。汪洋CEOは「庭や屋外ではコンセントの利用が限られ天気の変化による影響も受けやすい。アウトドア用の電化製品を実現するため、我々は蓄電やバッテリーなどのコア技術に優先的に取り組んだ」と語る。

Aiperは設立以来、蓄電関連製品とバッテリー技術の独自プラットフォームを確立してきた。自社開発したコア技術には、システム管理・制御ソフトウェア、DSPコア制御アルゴリズム、バッテリーパック技術などが含まれ、ソフトウェアおよびハードウェアシステムを内製化することで、製品全体の安全性と安定性を効果的に向上させている。さらに、独自開発のバッテリー管理システムは耐用年数を延ばすことができ、Aiperのロボット掃除機は同様のバッテリー容量でもより長時間の稼働ができる。

Aiper利用シーン

Aiperの蓄電システムは、今後より多くの製品のアプリケーション搭載が可能になり、製品間の連携が強化される見通しだ。近く発売されるポータブル電源はモジュール型のバッテリーパック技術を採用し、取り外し可能な複数のバッテリーパックを搭載してプールクリーナーを含むすべてのAiper製品に使えるなど汎用性が高い。

汪洋CEOは「ポータブル電源とガーデン用製品が連携することでAiper関連製品の購入コストが少なくとも20%〜30%低くなる上、使いやすく省エネで環境にもよりやさしくなる」と語る。Aiperの蓄電製品には、CO2排出量を大幅に削減できるカスタムメイドの太陽光発電パネルも装備されている。

現在、同社の中心メンバーの大部分は中国内外のトップ大学の卒業生およびフォーチュン・グローバル500に選出された企業など有名企業の出身者であり、研究開発人材が全体の4割以上を占める。

(翻訳・大沢みゆき)

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