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自動運転技術の商用化では、貨物車が乗用車に先んじている。
自動運転技術関連のスタートアップ企業と言えば、「図森未来科技(TuSimple)」が昨年8月から米アリゾナ州の高速道路で小規模ながら自動運転トラックの本運用を行っている。現在は車両1台につき1日平均3~5回走行し、13社に配送しているという。
同じく自動運転貨物車を手がける「飛歩科技(FABU Technology)」も、自社で開発したL4クラスの自動運転トラックを昨年11月に事業化した。「中国郵政速逓物流(China Postal Express & Logistics Company)」や「徳邦物流(DEPPON LOGISTICS)」などの物流業者と提携し、浙江省内に3路線を構築した。1路線につき車両1台が稼働し、すでに定期運行に入っている。今年2月までの約3カ月で累計3600キロを走行、約6万件超の貨物を配送した。運行時の最高時速は90キロに達している。
創業者でCEOの何暁飛氏は、自動運転業界について「規模の大小だけでなく、多様性や有効性を評価することが重要」と述べた。同社は今後1年以内に、自動運転トラックによる商用物流路線を100路線にまで増やしたいとしている。
すでに運用している3路線のルート上には、市街地から高速道路まで多様な運転シーンを抱える。暴風雨や大雪、濃霧などの悪天候に見舞われる場合もある。ある路線は23.6キロのルート上に学校や市場、商業施設、駅など多くの施設があり、交差点50カ所、信号機26カ所があるという。
こうした複雑な環境下で、特に難関となるのは信号の識別やトンネル内の運転だ。信号機のライトは面積が小さく画素数が少ないので識別が難しい。また、暗くGPSの電波が届きにくいトンネル内では、慣性航法装置の累積誤差が大きくなる。これらについて、何CEOは具体的な解決法は明かしていないが、高精度地図などの技術で特許を申請中だという。
今後のルート拡大については、現段階のAI技術で対応可能な範囲の路線を選ぶという。山道などを含む複雑な地形の路線はまだ選択肢に含めていない。
11月から旧正月の繁忙期の運用実績は、同社が100キロ以内の短距離輸送を実現するための重要な一歩だ。何CEOによると、個々の客先への配送も難しくはない。ただ、現時点では倉庫から倉庫への配送の方が需要が大きいという。
同社の強みは、アルゴリズムとチップ技術を一体化したソリューションだ。今年後半に発売予定の同社のチップは、2018年9月に台湾の半導体ファウンドリ「TSMC(台湾積体電路製造)」でテープアウトし、L3~L4クラスに対応するリアルタイムのデータ処理を実現する。消費電力は5ワット、演算性能は4.1TOPSで、画像や動画データのほか、LiDARやミリ波レーダーによるデータにも対応する。
優れた技術でも、収益化につなげるためにはコストコントロールが肝要だ。顧客にもコスト減や効率向上などの利益をもたらし、安全性も高めていかなければならない。
徳邦快逓ビッグデータ研究開発センターのシニアディレクター劉偉氏は昨年11月に「徳邦のドライバーは短距離・長距離合わせて1万人で、彼ら1人当たりにかかる年間コストは10万元(約165万円)だ。自動運転技術を導入すれば、従来は3人のドライバーが交替で走行した長距離路線も2人で済むようになる。少なく見積もっても1割のドライバーはカットできるので、年間1億元(約16億5000万円)の支出を削減できる」と話している。
飛歩科技は2017年8月の設立以来、エンジェルラウンドで創新工場(SINOVATION VENTURES)から、シリーズPreAで和玉資本(MSA)などから出資を受けており、近く新たに資金を調達する予定だ。
(翻訳・愛玉)
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