「中国版ナスダック」科創板がTikTok運営元のバイトダンスに上場第1号を打診するも非現実的か

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上海証券取引所に新設されるハイテクベンチャー専用ボード「科創板」に最初に上場する企業が、ショート動画アプリ「TikTok」などを運営するバイトダンス(字節跳動)になる見通しだと報じられた。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの2月21日付報道によると、関連部門が同社に上場を打診したという。

バイトダンスは昨年10月にプレIPOラウンドで40億ドル(約4400億円)を調達し、評価額は750億ドル(約8兆3000億円)に達したとみられる。関係筋によると、これまでに香港やニューヨークでの上場も検討していた。

ただし、同社は科創板が対象とする産業区分と合致しているとは言えない。

中国証券監督管理委員会(CSRC)と上海証券取引所が1月30日に公布した「上海証券取引所における科創板創設ならびに株式発行登録制度の試験的導入に関する意見書」などによると、科創板について「次世代情報技術、ハイエンド設備、新素材、新エネルギー、省エネ・エコロジー、バイオテクノロジーなどのハイテク産業および戦略的新興産業を重点的に支援し、インターネットやビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能などの新興技術と製造業の高度な融合を推進する」と定義している。

バイトダンスは確かにビッグデータやアルゴリズム、AIなどの技術に優れるが、主要事業はニュースアグリゲーションやショート動画サービスであり、製造業は行っていない。

さらに、バイトダンスのような高評価額の企業が上場すれば、科創板全体の資金動向に影響する。昨年7月、シャオミ(小米科技)が香港市場に上場した際は、評価額540億ドル(約6兆円)で240億香港ドル(約3400億円)の調達を計画していた。評価額750億ドルともいわれるバイトダンスが科創板に上場すれば、調達額はやはり数百億元(数千億円)に達するだろう。

招商証券(CMSC)の分析によると、科創板ではIPOによる資金調達総額を年間500億元(約8300億円)と見込んでいる。国泰君安(GUOTAI JUNAN SECURITIES)の推計では、科創板に最初に上場する企業は10~15社で、その調達総額は200億元(約3300億円)程度だ。1社平均20億元(約330億円)という計算になる。バイトダンスが上場するなら、科創板のみならず、A株市場の資金動向にまで影響が及ぶだろう。

科創板では上場直後の5営業日は値幅制限を設けず、その後は20%に制限される。こうした特殊なルールから、評価額の高い企業は取引額も大きくなり、リスクを分散できない。

以上の観点から、バイトダンスの科創板上場は現実的ではない。同社も「報道は事実に反する」と否定している。
(翻訳・愛玉)

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