四足歩行ロボットの量産化、中国で先行する「Unitree Robotics」 北京五輪で活躍 感染対策にも

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高性能ロボットを開発する「宇樹科技(Unitree Robotics、以下Unitree)」がシリーズBで数億元(数十億〜百数十億円)を調達した。出資を主導したのはマトリックスパートナーズ・チャイナ(経緯創投)と敦鴻資本管理(Dunhong Capital Management)で、測定器の開発を手がける多国籍企業ヘキサゴン(Hexagon AB)、既存株主の順為資本(Shunwei Capital)、著名エクイティ投資機関の容億投資(Winreal Investment)、深圳市創新投資集団(SCGC)も出資に参加し、雲岫資本(Winsoul Capital)が単独で財務アドバイザーを務めた。

Unitreeは2016年8月に設立され、消費者用および企業用の高性能四足歩行ロボットや6軸ロボットアームを開発・製造・販売する。世界で最も早く四足歩行ロボットの商用化を実現した企業の1社でもあり、これまでに「Laiakgo」「Aliengo」「A1」「Go1」「B1」など多くの製品をリリースし、数十カ国で累計数千台を販売している。

Unitreeの製品のこれまでの歴史

商業施設やホテル、レストランなどで見かけるサービスロボットとは異なり、四足歩行ロボットは移動にタイヤやキャタピラーが不要で、小回りが効き機動性に富み、反応も素早く、複雑な環境への適応力も備え、連続稼働時間も大幅に伸びた。我々の日常生活によりよいサービスを提供できるだけでなく、より複雑で危険な状況にも適応してさまざまなタスクを安定してこなせるため、消費者用・企業用ともに幅広い活用の可能性を秘めている。

Unitreeは消費者用に3種類の製品をリリース済みだ。中でも昨年半ばに消費者向けの初製品としてリリースされたGo1シリーズはこれまでに約1000台を出荷した。Go1はインテリジェントサイドフォロー(自動伴走)システム、スーパーセンシングシステムなどを搭載し、走行スピードは最高4.7m/秒、可搬重量は約3〜5Kgで、人の横に並んで伴走できるほか、飲み物や軽食を載せて運ぶこともできる。

2022年北京冬季五輪の開会式で披露されたGo1のパフォーマンス

企業用製品では、四足歩行ロボットのほか小型ロボットアーム「Z1」などをリリースしている。国営テレビ局の中央電視台(CCTV)が今年の旧暦大晦日に放送した特別番組でパフォーマンスを披露した四足歩行ロボットB1は、防塵・防水性能等級IP68、全天候対応、高負荷などの特性を有し、セキュリティや消防、製鉄、石油・ガスなどの業界で顧客を持ち、パトロールや運送などに活用される。B1とZ1はすでに量産化もしている。

高い機能性を持つ四足歩行ロボット開発には「蔚藍智能科技(WEILAN Intelligent Techcnologies)」「徳魯動力(DELU Dynamics)」「雲深処科技(DEEP Robotics)」「哈崎機器人(HachiBot)」など多くのベンチャー企業が相次いで着手しており、スマートフォンメーカーのシャオミ(Xiaomi)やEVメーカーの小鵬汽車(Xpeng Motors)なども参入してきている。四足歩行ロボットに関連するソフトウェアやハードウェアも徐々に技術が成熟し、製造コストも下がっているが、大規模に普及するにはある程度の時間を要する。本格的な商用化にまで漕ぎ着けるプレーヤーはまだ数えるほどだ。

Unitreeの創業者でCEOの王興興氏は同社を経営するにあたって、コストに徹底してこだわり、製品に使われる全部品を自社で開発・生産していると話す。「我々は創業当初から高性能で低コストの革新的な製品を提供できるよう努力してきた。現在では中国で唯一、四足歩行ロボットの量産能力を有する企業に成長した」とも述べている。

王氏は四足歩行ロボットの商用化について、新しいアプローチを思いついたという。

消費者向け市場には大きなポテンシャルがあり、急成長段階にあるため、イノベーティブな製品を主にリリースしていくことで製品のイメージ形成や消費者への意識付けを絶えず行っていく。「すでに一部の顧客はUnitree製品を生活のパートナー、娯楽手段、教育手段として取り入れていることがわかっている。今後、コストパフォーマンスや性能が上がり続ければ、消費者向け市場も伸び続けていくだろう」と王氏は述べる。

企業向け製品ではすでにモデルとなる顧客が多くついているため、将来的にはこれらの既存顧客や株主をリソースとして特定の1〜2業界を徹底して深掘りし、あらゆる場面に製品をいち早く導入・応用させて生産性を高めていく。

上海市で感染症拡大防止を周知・啓発する犬型ロボットA1(顧客が独自に改造)

Unitreeの従業員は約200人で、およそ半数が研究開発や生産技術に携わるスタッフだ。開発系の主要スタッフは浙江大学、ハルビン工業大学や海外の名門大学を卒業し、IT大手アリババや監視カメラ大手ハイクビジョン(海康威視)などのテック企業でキャリアを積んでいる。CEO兼CTOの王興興氏は上海大学を卒業後、ドローン世界最大手DJI(大疆創新科技)で就業し、四足歩行ロボット業界でも10年近く開発に従事してきた。

これからの10年について王氏は、メンテナンス体制と既存の製品ラインナップを強化するとともに量産ラインを増設し、企業向け・消費者向け製品ともにさらに大規模で安定した生産を目指すという。また今回の出資者ヘキサゴンとスマートマニュファクチャリングやスマートシティなどの分野で戦略的提携を進めていくとした。
(翻訳・山下にか)

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