科創板の意見公募、市場と監督機関の調整進む

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1月30日,上海証券取引所は新たに創設される科創板(Science and technology innovation board)の6つの細則を発表し、2月20日まで意見公募を行うとした。その間、中国証券監督管理委員会(CSRC)が意見公募の座談会を開催したほか、上海証券取引所も2月15日から17日まで、全国4都市9地域で座談会を行い、市場を構成する様々な団体から科創板とその登録細則などに関して意見や提案のヒアリングを行った。

座談会において、特によく議論されたのは以下の問題だ。

1.科創板に上場する企業の情報公開は、透明性を高める必要があり、投資を誘導する側面に注意を払うと同時に、オペレーション上の柔軟性を考慮する必要もある。例えば、保証推薦人(スポンサー)となる証券会社などは全ての調査報告書を提出する必要ははないと考えている。もしどうしても提出する必要があるのならば、追って具体的な指導目録を発表するとともに、提出する調査報告書の範囲を目論見書の検証にに関わる部分に限ることも考えるべきだ。

2.上場企業の審査フローと基準についてより明確にし、透明化するべきだ。例えばIPO51条を遵守するべきか、関連規定はなお不明瞭である。さらに上場区分と基準をより明確にし、上海証券取引所とCSRCの「審査の重複」を避けるべきである。

3.引受の実施において「保証推薦+共同投資」制度が画期的であったため、活発な議論が行われた。科創板の規定では、保証推薦人がIPOの戦略的割当に参加することは認められるが、一定のロックアップ期間を設けることとされている。討論の中で、一部の証券会社は「保証推薦+共同投資」は大きな資金需要を生み、リスクも大きく、オペレーションにおいて一定の柔軟性があってしかるべきだと考えている。

4.個人投資家の資格は、50万元(約800万円)以上の資金と二年以上の投資経験が必要とされていたが、さらに緩和してもよいと考えられる。一部の証券会社は専門職に対する資格要件も緩和すべきだと提案している。

5.株価の変動幅において、新規上場後5営業日に関しては値幅制限を設けず、その後は20%に制限するという細則案に異論が出た。一部の参加者は「T + 0」(株式約定日当日に決済される制度)を推奨。現在のところ科創板は「T+1」(株式約定日翌日に決済される制度)の採用を予定している。上海証券取引所の回答では、20%の変動幅で大部分の株式取引をカバーできるとしている。「T + 0」を採用しない理由としては過度の投機的売買を防ぐためとしている。

全体的に見て、フィードバックされた意見は市場と監督部門間の責任区分をより一層明確にする必要があることを反映している。監督当局は柔軟性に欠ける規定に関し、調整する余地があるとの見解を示している。しかし同時に、科創板の設立に際しては、中小投資家の利益を保護し、過大なリスクを防ぐ必要があるとも強調している。(翻訳:山口幸子)

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